派遣社員との労使協定締結はお済ですか? 2024.02.25
派遣元の経営者または派遣元責任者の皆さまへ
労働局の調査や同一労働同一賃金対応でお困りではありませんか?
2020年4月以降、同一労働同一賃金対応が始まり、労働局の派遣事業担当部署である需給調整事業課による定時調査が活発になっています。
近年は調査内容が厳しくなっており、下記について注目されています。
1)労使協定方式に基づく書類が整備されていますか?(派遣事業報告書に添付)
2)派遣社員給与を決める派遣社員の人事評価が公正に行われていますか?
3)派遣社員の給与を正しく支給していますか?(賃金台帳も確認)
派遣元責任者講習の講師を10年以上務め、70社以上の派遣会社をご支援した実績のある社会保険労務士がサポートします。
令和6年度労使協定を3月中に作成し労働者代表者と取り交わす必要がありますので、派遣法に合致した内容で労使協定を作りたいお客様は下記までお気軽にご連絡ください。
<連絡先>
担当者:泉 佳男
E-MAIL y-izumi4864@mmjinji.jp
人生100年時代のシニアの勤労意欲はいかに?その活用ポイントは? 2024.01.28
「人生100年時代」「老後2000万円問題」などの言葉が一般化し、ここ数年「定年退職して老後を余暇三昧で過ごす」といった意識は、世の中から消滅しつつある感があります。 企業の側からしても、労働力不足の中、人材としてシニア層にも目が向けられるようになってきています。それを後押しするように国の補助金も手厚くなっています。 そのシニア層の「働くこと」への意識やモチベーションについて、興味深いデータが発表されたのでご紹介します。 ◾️シニアは「働く意欲」が増加傾向 パーソルホールディングス株式会社は、昨年「はたらく定点調査」を実施しました。これは 15歳から69歳の男女100,000人に行ったものです。その中で「各年代の仕事満足度」について、興味深い結果がありました。 「仕事の内容に興味が持てるか」 「仕事の裁量(自分に任されている範囲)が適切であるか」 「忙しさが適切であるか」 「経験・能力が活かせる仕事があるか」 「自分のキャリア・方向性と合った仕事ができるか」 の5項目において、「満足」と答えた人の割合は20代から40代にかけて下降線を辿るのですが、それ以降は50代・60代と上がっているのです。しかも、60代ではほとんどの項目で半数〜6割の人が「満足」している結果となりました。 特に「経験・能力が活かせる仕事があるか」については、60代で「満足」と答えた人は20代の54.9%を上回る56.5%でした。 30〜40代といえば、家族の生活を支える上で収入を確保するため働くという側面が大きい時期でもあり、なおかつ自分のキャリアや将来・職場環境について悩み、ストレスも多い年代でもあります。 それに比べて60代ともなると、子育ても後半になり、経済的な責任や負担も減り、自分のキャリアや生活に折り合いがついてくる人は多いようです。そういった意味でストレスが軽くなり、働くことそのものに対してのやりがいや意欲が回復してくるのかもしれません。 ◾️働き続けたい源泉は、「やりがい」「環境」 一方、リクルートマネジメントソリューションズは「一般社員の会社・職場・仕事に関する意識調査」を実施し、今月その中で「70代以降に働くことについての分析」をリリースしています。対象は、一般社員・係長・主任クラスの正社員3708名です。 それによると、「70代以降も働きたい人」は全体の14.2%でした。 ただ、年代別にはかなりその割合には差があります。40〜44歳では12.8%、50〜54歳では19.7%、60〜64歳では25.5%、65〜69歳では59.7%が、「70代以降も働きたい」と答えていました。ここでも年齢が上がるにつれ、働き続けたい意識が高まっていく傾向がみられます。 リリースでは、さらに各年代ごとに「70歳以降も働き続けたい」と考える人の理由についても分析しています。 それによると、特に現実的に70代以降の働き方について考える50代後半については、以下のような要素が「70歳以降も働きたい」と考える要因ではないかと考察しています。 ・具体的に今後の自分のイメージがつきやすい「能力やスキルを身につけるための制度・仕組みが整っている」環境 ・「組織での貢献の実感」といったやりがい ・「理念・ビジョンへの共感」つまり価値観があっている職場 ◾️高齢者雇用に関する助成金は「今現在」手厚い 2021年4月に施行された改正高齢者雇用安定法では、70歳までの雇用確保が努力義務となりました。その環境整備のための助成金は充実しているといって良いでしょう。 現在、高齢者の雇用に関する主な助成金・給付金は以下の通りです。 ・65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース) ・65歳超雇用推進助成金(高年齢者評価制度等雇用管理改善コース) ・65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース) ・高年齢労働者処遇改善促進助成金 ただ、今後社会全体の高齢化が進み、高齢者も働ける環境整備が進むにつれ、今後こういった助成金・給付金が減額・廃止されていくことは考えられます。 現に、60歳から65歳の労働者に適用される「高年齢労働者処遇改善促進助成金」の縮小は、2025年4月から始まります。2025年に65歳に到達する人から順次給付率を半減させ、段階的に廃止へと進むことが決まっています。 意欲的な人材を流出させない、補充できる組織になるために、今から対策に取り組むことがよりメリットは大きいと言えるでしょう。 みなとみらい人事コンサルティングでは、人事・労務に関わる最新情報を元に、貴社の状況に合わせたご相談に応じています。 また、高齢者の雇用・活用やその助成金取得についても、アドバイスが可能です。 お問合せ・相談フォームから、お気軽にお声がけください。初回の相談は無料です。 ご参考: ■パーソルHD:全国の就業者10万人を対象とした「はたらく定点調査」に見る年代別の就労意識【仕事満足度編】(2024年1月) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000854.000016451.html ■リクルートマネジメントソリューションズ: 「一般社員の会社・職場・仕事に関する意識調査」(2023年12月) https://www.recruit-ms.co.jp/press/pressrelease/detail/0000000423/ ■厚生労働省:65歳超雇用推進助成金のご案内(令和5年度) https://www.mhlw.go.jp/content/001075313.pdf ■厚生労働省:「高年齢労働者処遇改善促進助成金」をご活用ください(令和5年度) https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001082077.pdf (文責:コラム担当/金田千和)
2024年の人事労務関係の主な法改正。早めの対応が吉! 2023.12.26
2023年は、コロナ禍後のオンライン&リアル勤務や育休推進などを経て、仕事や生活の捉え方の大きな変化を目の当たりにした1年でした。 2024年はより細やかにその変化に対応する法令が、春先から試行されていく1年と言えそうです。 注目したい3大改正について取り上げます。 ①労働条件の明示が、より詳しくより細やかに必要に (改正労働基準法:2024年4月1日施行) 労働条件の明示は今や常識になってきていますが、今回の改正はさらに入社後のトラブルを減らすための事項が4項目追加されています。煩雑にはなりますが、労働者との良い関係を構築・維持していくために対応をしていきたいですね。 (1)就業場所・業務の「変更の範囲」の明示 今までは入社時・最初の労働契約締結時に就業場所や業務内容・範囲を説明すれば良しとされていました。 今後は、すべての労働契約の締結と有期労働契約の更新のタイミングごとに、その変更の範囲、つまり将来の異動による就業場所・業務範囲を示すことが求められます。 これによって、入社後に言われていた仕事でないところに異動になった、というトラブルの未然防止にもありますし、労働者にとっても安心してキャリア形成やワーク・ライフ・バランスを図りやすくなる狙いがあります。 (2)更新上限(通算契約期間または更新回数の上限)の有無と内容 有期労働契約の締結と契約更新のタイミングごとに、更新上限(通算契約期間または更新回数の上限)の有無と内容の明示が必要になります。またそれを変更する(新設・短縮など)場合、理由も合わせた説明も求められることになりました。 有期労働契約の更新が何回できるのか、いつまで契約を続けられるか上限を設けることは、違法ではありません。ただ、その回数・期間が不明確であったり、急に変更されることは労働者にとっては大きな不安・不信につながることでもありました。 (3)無期転換申込機会の明示 「無期転換申込権」が発生する更新のタイミングごとに、無期転換を申し込むことができる旨(無期転換申込機会)を明示することが義務付けられます。 実は、無期転換ルールの認知度が低いために、自分に無期転換申込権が発生してもそれを行使しない労働者の割合が高いことが、厚生労働省の調査でも指摘されています。 (4)無期転換後の労働条件の明示 上記に加えて、使用者はその「無期転換申込権」が発生する更新のタイミングごとに、無期転換後の労働条件も明示することが必要になります。 具体的には「業務の内容、責任の程度、異動の有無・範囲など」で、これも、労働者が無期転換するかどうかを判断しやすくする配慮となっています。 ②障害者の法定雇用率が引き上げに。障害のある人への合理的配慮の提供も義務化 (障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則等:2024年4月1日施行) 障害者の法定雇用率は現在2.3%ですが、2024年4月より2.5%、2026年7月より2.7%へと段階的に引き上げられます。 また、障害者差別解消法も改正され、事業者も障害のある人への合理的配慮の提供が義務化されます。合理的配慮の提供とは、障害者から「社会的なバリアを取り除いてほしい」という声があった場合、それを実施する上での負担が可能であれば、必要かつ合理的な配慮をするということです。(詳細は、下部の参考リンクを参照ください) ③社会保険の適用拡大。より小さい企業・短時間労働者も対象に (改正厚生年金保険法:2024年10月1日施行) 2020年に成立した「年金制度改正法」により、短時間労働者が社会保険の加入対象となる企業規模が段階的に引き下がっていますが、2024年10月からは従業員数が51~100人の中小企業も社会保険の適用範囲拡大の対象になります。 また、それに加えて「短時間労働者」の要件も変わります。10月からは以下の条件を満たす人が対象になります。 ・所定労働時間が週20時間以上 ・雇用期間が2ヶ月以上の見込み(←以前は1年以上) ・賃金の月額が88000円以上 ・学生でない 対象が拡大することもあり、社会保険に入るかどうかで勤務形態の変更を選択する労働者も出てくることが考えられます。今回該当になる企業の方は早めの対応をおすすめします。 このほかにも ・専門業務型裁量労働制の適用対象業務が拡大。導入・継続要件追加(4月1日施行) ・建設業・自動車運転業・医師にも時間外労働の上限規制(4月1日施行) ・マイナンバーカードと健康保険証の一体化(秋頃) などが行われます。 みなとみらい人事コンサルティングでは、人事・労務に関わる最新情報を元に、貴社の状況に合わせたご相談に応じています。法令改正への対応についてのご相談もたまわります。お問合せ・相談フォームから、お気軽にお声がけください。初回の相談は無料です。 ご参考: ■厚生労働省/令和4年度労働政策審議会労働条件分科会報告を踏まえた労働契約法制の見直しについて(無期転換ルール及び労働契約関係の明確化)https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32105.html ■厚生労働省/障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化についてhttps://www.mhlw.go.jp/content/001064502.pdf ◼️内閣府/令和6年4月1日から合理的配慮の提供が義務化されます! https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai_leaflet-r05.html ■厚生労働省/年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00006.html (文責:コラム担当/金田千和)
「やめたくなる職場」の条件が変わってきた? 2023.11.28
世の中の企業にとって「若手の指導は難しい」「若手の勤続率を改善したい」というのは、永遠の悩みかもしれません。 「ハラスメント」「ブラック企業」という言葉が定着したように、ここ数年は企業側が新人・若手に対して、福利厚生を充実するなど働きやすさを高めることに努める傾向が高まっています。 そのためか、かつてのような「怒鳴り散らす上司」「口うるさい先輩社員」は減ってきているようです。上司の方が気を遣う、そんな風潮さえ感じます。 しかし、その一方で、若手の離職が著しく改善しているかというと、必ずしもそうではない状況が見えてきました。背景をデータから読み解きます。 ◾️今の会社とは5年? 転職に肯定的な若者世代 電通は今年6月、全国15~64歳の2000人を対象に、「仕事・結婚・子育てに関する意識調査2023」を実施しました。その報告書では「Z世代(15~26歳)」「ミレニアル世代(27~42歳)」「X世代以上(43~64歳)」の3世代の意識の違いを分析しています。 それによると、Z世代の半数以上(54.6%)が「転職は自分の人生を良くするための手段である」と考え、4割弱(38.7%)が「当面の生計がたてられれば、非正規雇用でもよい」と考えていることがわかりました。 実際その転職は具体的にどのくらいのスパンなのでしょうか? 昨年のデータになりますが、リクルートワークス研究所の「大手企業における若手育成状況検証調査」によれば、大手企業の新入社員でも、「近いうちに」「2〜3年で」「5年くらいで」転職を考えている人は合わせて6割に達しているということがわかっています。 今の企業とは5年程度の関係性で、転職によってより良い人生を手に入れたい、そんな価値観が若手にはあると言えます。 ◾️「ブラック企業」は避けたいが、「ゆるい職場」にも危機感を感じる若手 退職・転職に実際に行動するきっかけの1つに、働きやすさがあげられます。具体的には心身を損なうブラック企業は「すぐに辞めたい」ということになります。 ただ、昨今では「ホワイトすぎて辞めたい」「ゆるすぎて辞めたい」という声も一方で存在します。 「ゆるい」とは実際どういうことなのでしょうか? 学情は、20代会社員を対象に「ゆるい職場」に関してのアンケート調査を行っています。 それによると、「仕事において、職場が『ゆるい』と感じる」14.8%、「どちらかといえばゆるいと感じる」は24.6%と、合わせて4割の20代会社員が「ゆるい」と感じていることがわかりました。 そして、そう感じるのは「上司からの指導がない」(53.8%「雑用が多い」(34.2%)、「責任ある仕事を任されない」(32.5%)からだという回答でした。 また、「ルーティーン業務ばかりで、なかなか成長できないと感じる」、「数字へのコミットが重視されておらず、成果を上げても上げなくても評価が変わらない」などのコメントもあり、自分が成長したりキャリアを積めない不安が現れています。 リクルートワークス研究所の研究でも、職場が「厳しい(ゆるいと感じない)」会社の若手の転職意向は最も高かったのですが、次に転職意向の高かったのは職場が「ゆるい」と感じている層でした。「どちらでもない」と答えた層が最も現在の会社への勤続意向は高かったのです。 「フロー理論」を提唱した、ミハイ・チクセントミハイ教授によると、人がやりがいを感じるのは、決して「たやすくできること」ではありません。むしろ、程よい難しさがある課題・作業です。それに対しての達成感が、取り組み意欲を掻き立て、継続を促すのです。 そう言った意味で、「明確な指示・指導がない」「雑用が多い」「仕事を任されない」という「ゆるい職場」は、意欲的な若手には魅力的には思えないのはさもありなんということになります。 むしろ、このゆるい職場にいて、今後の自分は社会に通用する人材になれるのか、という危機感に繋がり、転職を考える人材も多いことでしょう。 ◾️理想の上司の条件は「仕事の指導が丁寧」「部下の意見や考えを真摯に聞く」 東京商工会議所の新入社員の意識調査では、「理想の上司はどのようなことを大事にしたり重視する人か」(複数回答)について聞いています。 その第1位は「仕事の指導を丁寧に行う」で59.8%、第2位は「部下の意見や考えを真摯に聞く」45.9%でした。 「若者の考えていることはわからん」「Z世代は宇宙人?」とぼやきたくなる人は多いかもしれません。しかし、貴社に入社した時点では、少なくとも貴社で働く意欲があることは確かです。 的確な指示を出しながら、小さなチャレンジをさせる中でキャリアを積んでもらい、やりがいを感じて活躍もしてもらう、そんな若手とのWIN-WINな関係を築いていきたいものですね。 みなとみらい人事コンサルティングでは、人事・労務に関わる最新情報を元に、貴社の状況に合わせたご相談に応じています。 また、人材の育成・定着・活用についても、アドバイスが可能です。 お問合せ・相談フォームから、お気軽にお声がけください。初回の相談は無料です。 ご参考: ■電通:仕事・結婚・子育てに関する意識調査2023(2023年6月) https://www.dentsu.co.jp/news/release/2023/0904-010634.html ■学情:20代会社員「ゆるい職場」に関してのアンケート調査 (2023年9月) https://service.gakujo.ne.jp/wp-content/uploads/2023/10/230906-rekatsuenq.pdf ■リクルートワークス研究所:大手企業における若手育成状況検証調査(2022年7月) https://www.works-i.com/research/works-report/item/youthemploymentsurvey.pdf ■東京商工会議所:2023年度新入社員意識調査(2023年4月) https://www.tokyo-cci.or.jp/file.jsp?id=1034060 (文責:コラム担当/金田千和)
男女賃金格差開示が本格化。格差改善の施策とメリットは? 2023.10.29
2022年7月の女性活躍推進法の省令改正により、301人以上を雇用する企業などの事業主に、男女間賃金格差の情報開示が義務付けられ、1年あまりが経過しました。その間、決算を終えた企業から男女賃金格差の開示が行われています。
世界的に見て、この男女間賃金格差の情報開示は、ようやく日本も重い腰をあげた、ともいうべきところなのですが、その格差解消は具体的に進んでいるのでしょうか。
その実態とメリットについてデータから考えます。
◾️日本は、男女間賃金格差で世界ワースト4位
ご存知の方も多いかもしれませんが、OECD(経済協力開発機構)のデータによると、日本はこの四半世紀で男女の賃金格差が15ポイント縮小し、21.3%差となりました。しかし、これは、韓国・イスラエル・ラトビアに続き世界ワースト4位です。
実際の金額で男女の格差を見てみると、フルタイムに限ったところでも、平均月収は大卒女性は28万8千円と高卒男性の29万5千円に及びません。(厚生労働省:賃金構造基本統計調査 2021年3月より)これに非正規雇用・短時間の労働者を勘案するとさらに格差があることが実感できます。
◾️賃金格差にインパクト大、管理職比率の低迷
ここ数年、「共働き世帯」が増えています。夫婦でともに家事や育児を分担していくことが若い世代を中心に「普通」となりつつあり、男性育休も法令の後押しもあって少しずつ浸透してきています。
妊娠・出産・子育て期も柔軟に仕事をしていきたい・続けたいという女性が増え、M字曲線は次第にフラットになってきていると言われています。
それでもなお、男女の賃金格差が大きいのには、その組織的な処遇にあると言えるでしょう。具体的には、管理職比率が低い、あるいは非正規雇用者が多いということです。
日本生産性本部の調査によると、東証プライム上場企業のうち女性管理職の比率が5%未満の企業が全体のおよそ半数、15%未満となると84.1%というのが現状です。
職位とともに給与は高くなるのですから、管理職が少なければ自ずと給与水準は低いままというのは当然の結果と言えます。
◾️管理職登用でも埋まらない格差の原因は?
この現状に対して、管理職登用に取り組む企業も増えていることは事実です。しかしながら、この管理職登用の他にも盲点があります。
それは、中途採用者に対する待遇です。多くの企業では、中途採用者の待遇を決める際、前職での給与や、社内で同程度の要件を備えた人材、同程度の勤続年数=経験年数として、決定することが多いでしょう。
その時点で格差があるとすれば、その格差をそのまま踏襲することになります。
◾️男女格差の少ない企業ほどPBRが高いデータも
このように、男女の賃金格差については、古い社会通念やそれによる職場の風土・社員の意識などの他にも、構造的な課題があることがわかります。
それらを改善していくのは容易にはいかないため、つい優先順位を下げてしまいがちかもしれません。
ただ、データをみると、そうも言っていられない現状も見えてきます。
あずさ監査法人が2023年夏、3月期決算の上場企業1800社超の有価証券報告書を分析したところ、PBRが1.5倍以上の企業(478社)の女性管理職比率は平均14.2%と全体平均の9.3%より高く、PBR1倍未満(1088社)の比率は平均以下の7.2%にとどまっていることがわかりました。
また、男女賃金差でも同様の傾向が見られました。PBR1.5倍以上の企業(458社)は平均69.3%と全体平均の66.8%より賃金差が小さかったのに対し、PBR1倍未満(1114社)は平均65.8%と差が大きかったのです。
この男女賃金格差やその改善の鍵を握る管理職登用比率の改善に注力することが、勝ち抜く企業への有効な一手と言えるかもしれません。
みなとみらい人事コンサルティングでは、人事・労務に関わる最新情報を元に、貴社の状況に合わせたご相談に応じています。
また、女性活躍推進策・男女賃金格差の改善策についても、アドバイスが可能です。
お問合せ・相談フォームから、お気軽にお声がけください。初回の相談は無料です。
ご参考:
■経済協力開発機構(OECD):「男女間賃金格差 (Gender wage gap)」(2022年)
https://www.oecd.org/tokyo/statistics/gender-wage-gap-japanese-version.htm
■厚生労働省:賃金構造基本統計調査(2021年3月)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkouzou.html
■公益財団法人 日本生産性本部:2023 年 3 月末決算企業の有価証券報告書「人的資本開示」状況(速報版) (2023年8月)https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/hrc20230802_press.pdf
■あずさ監査法人:有価証券報告書の開示に関するデータ分析 (2023年8月)
https://kpmg.com/jp/ja/home/insights/2023/08/information-disclosure.html
(文責:コラム担当/金田千和)
健康経営「ホワイト企業」「ブライト企業」が増加中。 2023.09.26
経営や採用において「ホワイト企業」という言葉が、よく聞かれるようになりました。 経済産業省が「健康経営」を標榜して、上場企業を対象に、健康経営優良法人認定制度の制定を行ったのは2016年。 従業員の満足度が上がり、採用面でもメリットが大きいこともあり、そこから年々「ホワイト企業」の申請数は増え続けています。 一方、中小企業としてはどのような現状にあるのでしょうか。データも交えてみていきます。 ◾️従業員の7割が健康面に課題。仕事に影響を感じる人も。
株式会社マイナビは、企業に勤務する個人と、人事・労務・企業内の健康経営担当者に対して「企業と従業員の健康課題への認識に関する調査」を行い、合わせて1000人あまりから回答を得ました。 それによると、個人の約7割が健康面に何かしらの不安を抱えていることが明らかとなりました。具体的には、最も気になるものとして「運動不足」39.9%、「ストレス」35.2%、「肥満」24.2%、「メンタルヘルス不調」19.4%があげられています。 その中でも「メンタル不調」については、「メンタルの不調を感じたことがある」という個人は33.4%と3割を超えていました。さらに、「メンタル不調が仕事に影響しているか」聞くと「大いにある」20.1%、「ある」26.7%、「若干ある」39%と、それらの人の多くが、「仕事に影響する」と答えています。 ◾️健康課題解決に取り組む企業は約半数にとどまる。 一方で、残念ながら、企業の対策は後手に回っているのが現状のようです。 企業の人事担当者らを対象に、「従業員向けに健康課題解決のための取り組みを行っているか」を尋ねたところ「取り組んでいる」企業は50%でした。 調査の中ではその原因までは質問に及んでいませんが、多くの場合、多忙な人事に任せてトップがあまりタッチしていない、具体的な施策が打ち出せない、「健康管理は個人の問題」という古い考えかある、などのケースが散見されます。 ただ、少子高齢化で優秀な人材の確保が難しくなっていくことは必至です。前述した通り、採用面での効果、現在働いている従業員の満足度、ひいてはパフォーマンスのためにも、優先的に取り組んでいただきたいテーマであることは間違いありません。 ◾️中小企業にも「ブライト企業」認定制度が浸透中。
「ホワイト企業」という名称は、働きやすく従業員に優しい企業という一般的なイメージ、「ブラック企業」の反対語として浸透しています。 しかし、前述のように正確には「ホワイト」企業は、2016年の健康経営優良法人認定制度で健康経営に取り組んでいると認定された上場企業をはじめとする大企業の称号です。 実は、中小企業についても健康経営企業への認定制度が始まっていることをご存知でしょうか。2021年より、「健康経営優良法人認定制度」における中小規模法人部門のうち、上位500の企業に「ブライト500」という称号が与えられることになりました。 2023年度には、中小規模法人部門に1万4012法人が申請(昨年比1割増)をするなど、働く人にとって魅力的な会社であることをアピールできると、ますます関心が集まっています。 ◾️「健康経営優良法人2024」申請期限は10月末まで
もちろん、申請にあたっては「くるみん」同様、制度要件にそった社内整備は必要です。ただ、申請にあたっての取り組みによって、従業員のモチベーションやパフォーマンス、定着率のアップという効果は実際見込めるようです。 「健康経営優良法人2024」は、申請期限は10月末までとなっています。これを機会に「ブライト企業」「ホワイト企業」を目指してはいかがでしょうか。 みなとみらい人事コンサルティングでは、人事・労務に関わる最新情報を元に、貴社の状況に合わせたご相談に応じています。 また、健康経営や健康経営認定制度の申請についても、アドバイスが可能です。 お問合せ・相談フォームから、お気軽にお声がけください。初回の相談は無料です。 ご参考: ■株式会社マイナビ:「企業と従業員の健康課題への認識に関する調査」(2023年5月) https://www.mynavi.jp/news/2023/05/post_38752.html ■経済産業省:ACTION!健康経営|ポータルサイト(健康経営優良法人認定制度)https://kenko-keiei.jp/ (文責:コラム担当/金田千和)
面接でNG質問の経験者は2割! 貴社の質問内容は大丈夫? 2023.08.25
人材の本格的な不足時代に備えて、4月入社の新卒採用に加えて、秋期入社の新卒採用、あるいは年間を通じた中途採用などに取り組む企業が増えてきています。派遣人材のニーズも高止まりしていると言えるでしょう。 まさに、人事部門は通年で面接を行う状況になっていますが、面接はある意味、企業と個人のダイレクトな接点だけに、大切にしたい場面です。 「採る側」からは見落としな視点について、調査をもとにあらためて考えます。 ◾️NG質問は「宗教」「支持政党」「本籍地」だけではない 連合(日本労働組合総連合会)は、「就職差別に関する調査2023」を行いました。最近3年以内に就職のための採用試験(新卒・中途)を受けた、全国の15歳~29歳の男女1,000名を対象に、インターネットで回答を得ています。 そこでは、「人事がしてはいけない質問はなんだと思いますか?」と聞いています。意外にその正答率は低く、5割を超えたのは「宗教」(56.7%)と「支持政党」(50.1%)のみでした。 応募者自身も質問しては項目があるとは知っていても、その細目は把握しておらず、知らず知らずのうちに人権侵害となっているケースは多いことが伺えます。
◾職安法で定められたNG質問とは? 実は、してはならない質問項目は、職安法で決められています。つまり、明らかな「法律違反」となるわけです。 この項目は、口頭で聞くだけではなく、書面や関係書類を提出させることも明らかな法律違反となるので注意が必要です。 ⚪️本籍地 「ご両親の出身地はどこですか」「生まれてから、ずっとそこに住んでいますか」も× ⚪️家族の職業 「ご家業は?」「お父さんのご役職は?」なども× ⚪️家族の収入、資産、住居状況 「ご両親は共働きですか」「学費は誰が出しましたか」「ご実家は一戸建てですか」 「お母さんがいらっしゃいませんがどういったご事情ですか」なども× ⚪️思想・宗教、支持政党、尊敬する人物 「信条としている言葉は?」「愛読書は?」なども× ⚪️自宅付近の略図、経路などが類推できること 「○○市・区のどのあたりですか」「国道○○号線(○○駅)のどちら側ですか」 「お住まいの地域は、どんな環境ですか」なども× ⚪️男女雇用機会均等法に抵触する質問 「結婚、出産したとしても働き続けますか」「結婚の予定はありますか」なども× 特に、住んでいる地域や出身地などは、ついアイスブレイク的に聞きがちです。しかし、応募者の能力や適性を測る上で無関係なばかりか、人権侵害につながる項目になってしまいますので注意したいものです。
◾️「不適切な質問・発言をされた」と感じた人は2割。その内容とは? では、応募者が明らかに不適切と感じた質問あるいは発言はどのくらいあったのでしょうか。調査の中では約2割の人が経験があると答えていますが、その内容はハラスメントと取られても仕方ないものも散見されました。 例を挙げると ・『女性だからどうせ辞める』と言われた(25歳・女性) ・『女性のほうが仕事が丁寧だから』と言われた(25歳・男性) ・『男性だから○○ですよね』と言われた(28歳・男性) ・結婚観を聞かれた(21歳・女性)(22歳・男性) ・入籍日や別居理由について聞かれた(21歳・女性) ・『転勤先でも出会いはあるよ』と言われた(28歳・女性) ・母子家庭であることについて聞かれた(24歳・男性) ・体型について聞かれた(22歳・女性) ・人種に関する質問をされた(28歳・男性) ・学生時代の選択に矛盾が生じていると嘲笑気味に言われた(22歳・女性) ・性的指向に関して一方的な決めつけをされた(22歳・女性) いずれも、応募者の能力や適性と関係のない質問や発言であり、面接者の個人的で勝手な思い込みが現れているように見えます。応募者がその場で辞退しかねない内容ですね。 今までそれで通ってきたからと、採用エントリー〜面接の内容をそのままにしている企業は少なくないことがわかります。 ただ、働く側も企業も大きく価値観が変わり、コンプライアンスが求められるなか、応募者に選ばれる企業になるには、関わるスタッフの意識改革も含めて見直す必要がありそうです。 あらためて、面接で何を聞いたらいいんだろう?と戸惑うところも多いかもしれませんが、 そこは、面接や選考の原点に立ち戻り、自社の基準に照らして「応募者の適性や能力を知るための質問だけをする」こと、「人権をの尊厳を損なう質問はしない」の2点を考えた内容を再構築することしかないでしょう。 みなとみらい人事コンサルティングでは、人事・労務に関わる最新情報を元に、貴社の状況に合わせたご相談に応じています。 また、人材採用や活用に関わる実務やコンプライアンスについても、アドバイスが可能です。 お問合せ・相談フォームから、お気軽にお声がけください。初回の相談は無料です。 ご参考: ■日本労働組合総連合会『就職差別に関する調査2023』 (2023年5月) https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20230531.pdf ■女の転職Type『面接で企業がしてはいけない質問』 https://woman-type.jp/academia/knowhow/interview/ngquestion/ (文責:コラム担当/金田千和)
求められるLGBTQ+従業員支援の取り組み。その意外な効果とは? 2023.07.28
法案の提出から7年を経て、2023年6月に「LGBT理解増進法」が成立しました。内容については様々な議論は続いていますが、まずはそういった議論が広く行われるようになったことは大きな転機と言えるかもしれません。
このような中、企業では性的マイノリティ(LGBTQ+)当事者を支援するために、今現在はどのような対応を行っているのでしょうか。
調査からわかった、その取り組みの実情と現れている効果についてお伝えします。
◾️性的マイノリティ当事者は5.3%。周囲は助けてくれるが、会社の取り組みはまだ。
アデコ株式会社は、正社員として働く20代から50代の会社員2,000人(各年代男女250人ずつ)を対象にインターネットで、LGBTQ+(性的マイノリティ)とジェンダー・ギャップに関する意識調査を行いました。
それによると、「自身を性的マイノリティであると考えている」と回答したのは全体の5.3%。つまり少なくとも20人に1人は性的マイノリティ当事者であることがわかりました。
そのうち、カミングアウト(公言)している人は26.7%とまだ少数。
ただ、職場において「性自認や性的志向に関する悩みについて相談できる相手がいる」と回答した人は59.1%にのぼりました。
自分が当事者であることは公言はしていないものの、周囲で悩みを相談できる相手がいる人も半数以上ということがわかります。
しかし、会社として取り組みが実施されているかどうかというと、自分の務める職場で性的マイノリティのための制度導入や理解促進のための取り組みが実施されているところはわずか18.5%にとどまりました。
◾️「LGBTQ+従業員を支援する取り組み」は大企業で約4割、中小企業で2割以下
では、実際企業としての取り組みはどれくらい進んでいるのでしょうか。
Indeed Japan株式会社は「LGBTQ+当事者の従業員への取り組みに関する調査」を行っています。回答を得たのは、全国の20~50代までの会社・団体の経営者・役員、会社員 62,325名(うち人事に携わる人500名)でした。
それによると、LGBTQ+の人に対する取り組みを行っているのは、大企業(1,000名以上)では39%、中小企業(2~999名)は18%にとどまっていました。
具体的な施策としては「面接や応募者とのやりとりにおいて、LGBTQ+当事者への差別的な発言をしないようにしている」が40.8%、「企業サイトにLGBTQ+当事者の従業員への取り組みの有無を掲載している」は23.0%、「求人票にLGBTQ+当事者の従業員に関する制度や福利厚生の内容を記載している」は20.4%でした。
企業としては、様々な立場の社員への施策対応を迫られている中で、まずは「女性」(63.6%)や「子どもをもつ人」(60.4%)「障がいのある人」(49.9%)そして「外国籍の人」(40.4%)に対して優先順位は向けられているようです。
その中で、今現在「LGBTQ+」に対する取り組み実施は24.2%と、最下位。法案が成立し、今後LGBTQ+当事者の従業員への施策への取り組みが充実していって欲しいものです。
◾取り組みは、当事者以外も働きやすい企業文化につながる効果も
取り組みを実施している企業では、その効果は現れやすく、「SOGI(性自認・性的指向)ハラスメントが減少した」(27.4%)との回答が多く、結果「LGBTQ+当事者の従業員平均勤続年数が長い/伸びている」というところが7割に達しています。
また、施策を導入していない企業との比較でいうと「ダイバーシティ(多様性)が担保されている」が約2倍、次いで、「お互いを認め合う/尊重し合う風土がある」が約1.6倍となっています。
LGBTQ+当事者の従業員に対する取り組みを行う企業では、ダイバーシティのある企業文化が醸成され、結果、当事者のみならず誰もが働きやすい環境づくりにつながっていると言えそうです。
従業員の職場環境に対する満足度が上がることで、採用や人材活用の面での効果も期待できます。
「LGBT理解増進法」は、今現在は罰則を伴わない理念法のため、後回しになりがちではあります。ただ、その趣旨を理解して社内環境を整えていくことで、採用や人材活用面でのメリットは大きいと考えられます。
みなとみらい人事コンサルティングでは、人事・労務に関わる最新情報を元に、貴社の状況に合わせたご相談に応じています。 また、法令に則した具体的な社内での施策、従業員への対応について、アドバイスが可能です。 お問合せ・相談フォームから、お気軽にお声がけください。初回の相談は無料です。 ご参考: ■アデコ株式会社『LGBTQ+(性的マイノリティ)とジェンダー・ギャップに関する意識調査』 (2023年6月) https://www.adeccogroup.jp/pressroom/2023/0628 ■Indeed Japan株式会社『LGBTQ+当事者の従業員への取り組みに関する調査』 (2023年6月) https://jp.indeed.com/press/releases/20230622-2(プレスリリース) (文責:コラム担当/金田千和)
それって「リモハラ」? 遅れる理解と対策の現場 2023.07.02
ここ数年、日本国内でもハラスメントについての意識が高まっています。数年前なら気にも止めなかったことも、敏感に「それはパワハラでは?」「セクハラと取られかねない」など気にされるようになった方も多いのではないでしょうか。
株式会社ライボの調査機関であるJob総研では、従業員数20人以上の企業に勤務する20~50代の人に「2023年ハラスメント実態調査」行い、男女351名から回答を得ています。
様々なハラスメントのうち、意外に知られていない「リモハラ(リモートハラスメント)」について、気になるデータをピックアップします。
◾️正しくリモハラを理解しているのは15%、
特に部長職が「リモハラの内容をよくわかっていない」
何がリモハラに当たるのか、その内容を把握しているか聞くと、「正しく把握している」人のは15.5%に留まりました。
それに対して、6割の人は”曖昧な内容で把握している”状況でした(「把握しているつもりだが正しいかは曖昧」39.1%「なんとなく把握している」22.9%)。また、「把握していない」人も22.5%にのぼりました。
リモハラという言葉を耳にしたことはあっても、実際の職場での行動の中で何がリモハラに当たるのかは、明確でない状況だと言えます。
またこれを役職別で見ていくと、「正しく把握している」の回答率が高かったのは課長クラス(28.6%)。一方で、「全く把握していない」の回答が多かったのは部長クラスで36.4%でした。
リモハラをしてしまったかもしれない加害経験を聞くと、「ある」「どちらかといえばある」を合わせても5.9%、「ない」「どちらかといえばない」が合わせて94.1%でしたが、
リモハラへの理解度を考えると実態とかけ離れている可能性も否めません。
管理職をはじめ、リモハラについての啓蒙は今後必要と思われます。
◾️リモハラの具体例
では、具体的にどんなことがリモハラに当たるのでしょうか。主なものとしては以下のようなことがあげられます。
・業務中、チャットやメールなどで常に監視をする
・業務内容の報告を過度に求める
・Webカメラを常に繋げた状態を強要する
・オンライン会議中に映り込んだ室内の様子や音声への過度な詮索
・オンライン飲み会への参加の強要
・オンライン会議でのセクハラ行為
調査の中でも、被害・加害経験として多かったのは「Webカメラを常に繋げた状態を強要」「業務内容の報告を過度に求める」でした。
その背景として、リモートワークは部下が働く姿が直接見えないため、部下の勤怠について、不安を感じる管理職が多いことがあげられます。
リモートワークだから、相手の状況や心理がわからず気を遣うという声がある一方で、不安なあまり踏み込んでしまう状況はあるようです。
リモートワークでも適切なマネジメントは可能です。より働き方の向上につながる機会と捉えて対策を講じることも必要かもしれません。
◾️リモハラ防止対策は「ない」「有無を知らない」が8割超
さて、そんな中、リモハラに対しての防止策の実情はどうでしょうか。
「職場にリモハラの防止対策はあるか」という問いについて「ある」という回答はわずか14.2%でした。また「ない」は34.8%「有無を知らない」は51%と、合わせると8割を超える結果となっています。
また、職場でのリモハラ防止対策については「不満足」は71.5%と、7割以上が自社のリモハラ防止対策に不満を抱えていることもわかりました。
調査の中では、自由回答で「コロナ初期の頃はリモハラももっと多かったが、減ってきたと感じる」という声もありました。ただ、リモートワークが一つの働き方の形として定着する今、そのハラスメント防止策はしっかりと講じていく必要はありそうです。
みなとみらい人事コンサルティングでは、人事・労務に関わる最新情報を元に、貴社の状況に合わせたご相談に応じています。
また、創業以来、自社でもリモートワークを推進しており、その豊富な実例を元に、アドバイスが可能です。
お問合せ・相談フォームから、お気軽にお声がけください。初回の相談は無料です。
ご参考:
■Job総研『2023年 リモハラの実態調査』
(2023年3月)
https://job-q.me/articles/14922
(文責:コラム担当/金田千和)
ハケンの働き方に変化。「副業」としての選択も。 2023.06.01
エン・ジャパンは、自社の運営する派遣情報サイト『エン派遣』で「希望の働き方」について昨年に続きアンケート調査を行ないました。
このアンケートの対象は、派遣として就業経験があり、かつ現在派遣での仕事を探している人で、昨年・今年とも約900名の回答を得ています。
今回はその結果の中から、気になるデータをご紹介します。
◾️希望派遣期間は「1年以上」が半数以上に。3ヶ月以下は再び減少へ。
「どのくらいの期間のお仕事をさがしていますか?」という質問に対して、今年の調査では59%が「1年以上」と回答。これは昨年に実施した同調査に比べ13ポイントの増加です。
「3ヵ月未満」の仕事の希望者については、新型コロナウィルスの感染拡大前の2020年には22%、昨年2022年には35%と増加したものの、今年2023年には再び22%に減少しています。
多くの企業でコロナ前のような業務を再開しようとする動きもあり、そんな中、多くの派遣の人が長期の契約を希望する傾向が回復していることが伺えます。
◾️フルタイム・パートタイムとも、希望勤務時間はやや短時間に
「希望の勤務時間」は、「フルタイム・1日実働7時間未満」がトップで40%という結果でした。全体的に「フルタイム」(「実働7時間未満」+「実働7時間以上」)がわずかに増加しました。(2022年:54%→2023年:56%)
年代別で見ると、前回調査同様、20代以下と 50代以上が「フルタイム」を希望する割合が高く、30代・40代は「パートタイム」(「実働4時間未満」+「実働4時間以上」)を希望する人の割合が高い傾向です。
ただ、同じフルタイム、パートでも「以上」から「未満」へと短い勤務時間を望む傾向がどの年代でも顕著です。全体でいうと、4時間「以上」のパートは30%→14%、4時間「未満」のパートは13%→27%、7時間「以上」のフルタイムは37%→16%、7時間「未満」のフルタイムは17%→40%となっています。
その理由については、この調査では収集されていません。ただ、コロナ禍で通勤に対するストレスが増えたり、在宅勤務のメリットを体感したことで、働き方への意識に何らかの変化が起きている可能性もあるのではないでしょうか。
◾️副業としての「派遣」は4割!
同調査の昨年のプレスリリースでは、「探しているのは本業か、副業か」(複数回答)という項目についての発表がありませんでしたが、今回はそれについても発表されました。
それによると「メインのお仕事として」は78%、「副業として」は38%(1ポイント増)という結果でした。つまり、派遣+派遣も含めたダブルワークも考えている人も多いということになります。
起業をはじめ、さまざまな副業が考えられる中、堅実な収入確保につながる副業として派遣も選択肢に入っていることが見て取れます。
みなとみらい人事コンサルティングでは、人事・労務に関わる最新情報を元に、貴社の状況に合わせたご相談に応じています。
また、特に派遣業に関しては、専門家として豊富な実例を元に、アドバイスが可能です。
お問合せ・相談フォームから、お気軽にお声がけください。初回の相談は無料です。
ご参考:
■エン・ジャパン株式会社/
派遣経験者に聞く“希望の働き方”ー『エン派遣』ユーザーアンケートー
(2023年5月)
(2022年5月)
(文責:コラム担当/金田千和)
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セミナーについて
当事務所セミナー会場(27Fスカイラウンジ)で、当事務所が独自にテーマを設定し、お申し込み頂いた、複数の会社様にご参加頂くものです。
セミナー開催実績例
- 介護事業者様向け「改正介護保険法セミナー」
- 介護事業者様向け「介護労働環境向上奨励金セミナー」 3回
- 新規採用をお考えの事業者様向け
「元ハローワーク職員が教える!求人助成金セミナー」 - 飲食店様向け「元ハローワーク職員が教える!求人助成金セミナー」
講演について
当事務所代表が会社様や、ご同業者の集まりに訪問し、ご依頼されたテーマ(一般的な課題)について原稿を作成し、講演するものです。
講演実績
日本経営開発協会様 御紹介
市川港開発協議会様 主催 研修
「マイナンバー通知開始!
今知りたいマイナンバー制度の傾向と対策」
【参加者様からのお声】
- 非常に分かりやすく、90分飽きさせることのない素晴らしいものだった。
- 非常に役に立ち、興味が持てる内容だった。
- 普段は講義に集中するのは難儀なのだが、話のスピード、声のトーン、間、どれを取っても感心するばかりだった。
- マイナンバーが今後いろいろな問題を引き起こす可能性があることがよくわかり、大変勉強になった。早期に確実な運用体制を社内に確立させなければと思った。
一般社団法人 港湾労働安定協会 様 主催
雇用管理者研修「職場のメンタルヘルスに関して(会社を守る職場のメンタルヘルス対策)」
【参加者様からのお声】
- メンタルヘルス対策は今後も重要になってくると思うので、このような研修会を増やして貰いたい。
- 社会保険労務士による内容を次回もお願いしたい。
- メンタルヘルス関係で初めて面白い(役に立つ)情報が聞けたと思います。
- 大変に良い研修ですので、これからも続けて貰えるとありがたいです。
- 中間管理職として守るべきというか、部下に対してどのような人事労務管理をすればよいのか、中小企業向けに別途講習会をやってほしいと思った。
- 株式会社LEC 様 主催
「介護雇用管理研修」業務委託登録講師 - 株式会社フィールドプランニング 様 主催
「派遣元・派遣先責任者講習」業務委託主任講師 - 神奈川韓国商工会議所様 主催
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(雇用の確保と5年ルールへの対応策)」 - 日本経営開発協会様 御紹介
株式会社根布工業様 主催
安全大会「入ってないと、どうなっちゃうの?社会保険のこわ~いお話」
泉文美 講師紹介ページ
研修について
当事務所代表が、会社様のご依頼に基づき、会社様の具体的な人事労務に関わる内容(個別事案)について、オーダーメイドのプログラムを作成し、社員の皆様に研修するものです。
研修のご依頼例
- 就業規則を変更したので、わかりやすい説明会を開いてほしい
- 給与規定を見直したので、従業員に説明をしてほしい
- 従業員向けの、接客マナー、敬語などのレッスン会をしてほしい
執筆のご依頼
雑誌・メルマガ、HPコラムなど、ご希望に沿ったテーマで記事を執筆いたします。
掲載履歴
HP記事執筆
ハッケン!リクナビ派遣に「働き改革!派遣社員が選べるふたつの雇用とは」と題する記事を執筆しました。
「近代中小企業」2月号
「近代中小企業」2月号に記事を執筆しました。
「元ハローワーク職員が教える!ハローワーク求人&助成金活用法」
「SR」 9月号
ハローワークを始め、社会保険事務所(現:年金事務所)、労働基準監督署でも勤務経験を持ち、「お役所の裏事情に詳しい社労士」として定評のある我がみなとみらい人事コンサルティング代表。
ハローワークでの勤務経験を買われ、日本法令様出版の「SR 9月号」に記事を執筆しました。
(第27号 2012年8月6日発売)