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NEW 転倒労災が増加中!派遣業界で急務となる「疲労対策」とは   2025.10.22

## 目次

1. はじめに:なぜ今「転倒労災」が増えているのか 

2. 数字で見る転倒災害の現状 

3. 「高齢化」だけでは説明できない転倒増加の真の要因 

4. 日本人の8割が「疲れている」—疲労社会ニッポンの実態 

5. 疲労が引き起こす“転倒リスク”と“ヒヤリハット” 

6. 派遣現場で疲労が蓄積しやすい3つの背景 

7. 疲労を放置することがもたらすリスクとは 

8. 社労士が提案する「疲労対策」3つの柱 

9. 職場でできる具体的な取り組み事例 

10. まとめ:疲労対策は「安全対策」であり「未来への投資」

 

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## 1. はじめに:なぜ今「転倒労災」が増えているのか

 

ここ数年、「転倒による労災」が増加しているという報告が相次いでいます。 

転倒は一見すると“小さな事故”のように思われがちですが、骨折や長期離脱につながることも多く、企業にとっては大きなリスクです。

 

派遣業界でも、製造・物流・清掃・介護など、多様な現場でスタッフが働いており、 

**「転倒災害」は決して他人事ではありません。**

 

なぜいま、転倒による労災が増えているのか。 

その答えは、意外にも「疲労」というキーワードにありました。

 

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## 2. 数字で見る転倒災害の現状

 

厚生労働省の統計によると、2014年には約2万7000件だった転倒災害が、 

2024年には3万6000件を超え、**10年間で約1万件も増加**しています。

 

中央労働災害防止協会(中災防)も、「転倒による労災」が現在もっとも課題となっていると警鐘を鳴らしています。

 

この増加の背景には、「現場作業員の高齢化」が指摘されることが多いですが、 

実はそれだけでは説明がつかないのです。

 

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## 3. 「高齢化」だけでは説明できない転倒増加の真の要因

 

確かに高齢化は一因です。 

筋力の低下やバランス能力の衰えが転倒リスクを高めることは事実です。 

 

しかし、最近では**20〜40代の転倒災害も増加傾向**にあります。 

その原因として無視できないのが、「疲労の蓄積」です。

 

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## 4. 日本人の8割が「疲れている」—疲労社会ニッポンの実態

 

一般社団法人日本リカバリー協会の最新調査(2025年)によると、 

就労者の82.0%が「疲れている」と回答。 

この数字は過去最高であり、わずか1年で30万人以上増えたといいます。

 

さらに、「すごく疲れている」と答えた人の割合も46.3%に上昇。 

もはや**「慢性疲労」が社会全体に蔓延している**状態です。

 

疲労は単なる「だるさ」ではなく、 

集中力・判断力・筋肉の反応速度を鈍らせることで、 

作業中のミスや事故を誘発します。

 

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## 5. 疲労が引き起こす“転倒リスク”と“ヒヤリハット”

 

疲れていると、人は自分の身体感覚を正確に把握できなくなります。 

たとえば、「足を上げたつもりが上がっていない」「段差に気づかずつまずく」など。 

これは筋肉の疲労だけでなく、**脳の空間認知機能の低下**によるものです。

 

また、精神的な疲労がたまると注意力が散漫になり、 

「ヒヤリハット」や「インシデント」が起こりやすくなります。

 

労働安全の分野では有名な**ハインリッヒの法則**があります。 

1件の重大事故の裏には、29件の軽傷事故と、300件のヒヤリハットがあるという経験則です。

 

つまり、疲労を放置することは、**重大災害の予兆を見過ごす**ことにつながります。

 

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## 6. 派遣現場で疲労が蓄積しやすい3つの背景

 

派遣スタッフの現場は多様であり、 

疲労が蓄積しやすい構造的な要因がいくつも存在します。

 

### ① シフトの不規則化

早朝・夜勤・二交代制など、生活リズムが乱れやすい勤務体系が多く、 

睡眠の質が低下しやすい傾向があります。

 

### ② 現場異動の多さ

派遣スタッフは現場ごとに環境や作業ルールが異なり、 

その都度新しい動きや人間関係に適応する必要があります。 

心理的な疲労も蓄積します。

 

### ③ 慢性的な人手不足

人手が足りない現場では、一人あたりの作業負担が大きく、 

「無理をしてでもやりきる」文化が根付きやすくなります。 

その結果、疲労のサインを見逃してしまうのです。

 

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## 7. 疲労を放置することがもたらすリスクとは

 

疲労を軽視すると、転倒事故だけでなく次のようなリスクを招きます。

 

- **労災リスクの増加** 

- **生産性の低下**(集中力・判断力の低下) 

- **離職率の上昇**(心身の限界による離脱) 

- **企業イメージの悪化**(安全対策への信頼喪失)

 

派遣スタッフが安心して働ける環境づくりは、 

**派遣元・派遣先双方の責任**でもあります。

 

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## 8. 社労士が提案する「疲労対策」3つの柱

 

疲労対策は特別なことではありません。 

次の3つの柱を意識するだけで、現場の安全性と生産性は大きく変わります。

 

### ① 休養・睡眠・リラクセーション支援 

長時間労働を是正するだけでなく、 

休憩の取り方や睡眠改善の工夫を促す取り組みが効果的です。 

例えば「リカバリーデー(回復日)」の導入や、 

職場での軽いストレッチタイムなど。

 

### ② 認知・行動トレーニングによるストレス軽減 

疲労の背景には心理的なストレスもあります。 

簡単なマインドフルネスやセルフケア研修などを通して、 

“自分の疲れに気づく力”を育てることが重要です。

 

### ③ 上司と部下の対話による職場環境の調整 

「最近疲れていない?」と声をかけ合える風土をつくること。 

この一言が、事故を防ぐ最初のステップになります。 

職場ミーティングで疲労度を共有し、 

作業配分を調整する取り組みが有効です。

 

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## 9. 職場でできる具体的な取り組み事例

 

- **疲労チェックシートの導入** 

定期的にスタッフの体調や気分を確認し、数値化して管理。 

- **安全朝礼での“疲労トーク”** 

その日のコンディションを一言ずつ共有するだけでも効果あり。 

- **小休憩ルールの設定** 

集中が切れる前に5分の休憩を挟む。 

- **労務相談窓口の明確化** 

体調不良やストレスを気軽に相談できる仕組みをつくる。

 

こうした小さな工夫の積み重ねが、 

「疲れに強い職場文化」を育てていきます。

 

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## 10. まとめ:疲労対策は「安全対策」であり「未来への投資」

 

疲労は見えにくく、つい後回しにされがちです。 

しかし、疲労こそが労災・転倒事故の“静かな引き金”になっています。

 

派遣業界では、派遣スタッフ一人ひとりの安全と健康が 

企業の信頼を支える基盤です。 

疲労を可視化し、組織全体で取り組むことは、 

単なる「健康管理」ではなく、**「安全マネジメント」そのもの**です。

 

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社労士として現場を見ていると、 

疲労対策に取り組む企業ほど、スタッフ定着率も高く、 

現場の雰囲気が良くなる傾向があります。 

 

転倒災害を防ぐ最初の一歩は、 

「疲れていないか?」と問いかけることから。 

 

その声かけが、職場を守り、企業の未来を支える力になります。 

 

ご相談の際は、当ホームページのお問合せ・相談フォームから、お気軽にお声がけください。

初回のご相談は無料です。

 

 

【参照記事】

https://news.yahoo.co.jp/articles/bbb1506ba9753f0ff71b544fcd8318f494c8d313?page=2

 

【参考リンク】

厚生労働省「両立支援におけるストレスマネジメント」

https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/column/column_03.html

 

#労災防止 #派遣業界 #疲労対策 #安全衛生 #働き方改革 #社会保険労務士

NEW 群馬県で168事業所が是正勧告 派遣会社が今すぐ見直すべき「長時間労働リスク」とは   2025.10.20

### はじめに:またも浮き彫りになった「長時間労働」という現実

 

群馬労働局が2024年度の監督結果を発表し、違法な長時間労働などの労働基準法違反で**168の事業所に是正勧告**が出されたことが明らかになりました。 

さらにそのうち、**月80時間を超える「過労死ライン」**を超えた事業所は93カ所、**100時間超**のケースも47カ所に上っています。

 

つまり、群馬県だけで年間100社以上が「過労死ライン」を超える労働時間を従業員に課していたという事実です。 

この数字は決して地方特有の問題ではなく、全国どこでも起こり得る現実を象徴しています。

 

この記事では、社会保険労務士の視点から 

派遣会社が直面しやすい「長時間労働リスク」について、法的観点・実務対応・再発防止策を交えて詳しく解説します。

 

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### 1. 是正勧告の背景にある「見えない長時間労働」

 

群馬労働局の発表によると、2024年度に監督指導を受けたのは501の事業所。 

そのうち**385事業所(約77%)が法令違反**とされました。 

違反内容の内訳は以下の通りです。

 

- 違法な時間外労働:168事業所 

- 残業代の不払い:29事業所 

- 健康診断の未実施など健康管理措置違反:87事業所 

 

業種別では、**製造業が最多の45事業所**、次いで**運輸交通業が27事業所**。 

いずれも「人手不足」「納期プレッシャー」「取引先の要求」といった外的要因の影響を強く受ける業種です。

 

これらの数字から見えてくるのは、 

長時間労働は特殊な企業の問題ではなく、構造的な課題になっている」 

ということです。

 

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### 2. 派遣会社にとって他人事ではない「長時間労働」

 

多くの派遣会社では、労働時間の管理を派遣先任せにしてしまうケースが見られます。 

しかしこれは大きなリスクです。

 

厚生労働省が定める「労働者派遣の適正な運営のための指針」では、 

派遣元にも以下のような義務が課せられています。

 

> 派遣元事業主は、派遣先での派遣労働者の労働時間の状況を把握し、必要に応じて派遣先に対して改善を求めること。

 

つまり、派遣先が違法な長時間労働を行っていた場合、 

派遣元も「監督・是正を怠った」と判断されるリスクがあるのです。

 

これは、単に法令違反にとどまらず、**派遣契約の信頼関係**や**労働者の安全配慮義務**にも影響します。

 

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### 3. 現場で起こっている「見えにくい労働時間」

 

実際に、派遣社員の方からは次のような相談が寄せられることがあります。

 

> 「派遣先の社員と同じように残業しているが、申告しづらい」 

> 「派遣先が忙しく、毎日2時間以上の残業が続いている」 

> 「残業時間が把握されていない気がする」 

 

こうした「見えない残業」は、記録上の労働時間には現れません。 

特に、派遣社員がタイムカードを派遣先のシステムで管理している場合、 

派遣元がそのデータをリアルタイムで確認できないことが多いのです。

 

結果として、派遣元が「残業が多い」と気づくのは、 

本人の体調不良や契約更新の段階になってから――というケースも少なくありません。

 

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### 4. 長時間労働がもたらす3つの重大リスク

 

長時間労働を放置すると、派遣会社には以下のようなリスクが発生します。

 

#### (1)法的リスク 

労働基準法違反の連帯責任、労災認定、行政指導の対象となる可能性があります。

 

#### (2)人材リスク 

派遣社員の健康悪化や離職率の上昇につながります。 

結果として「人が定着しない派遣会社」としての評価が下がります。

 

#### (3)取引リスク 

派遣先での労務トラブルがニュースになれば、他の取引先にも影響を与えかねません。 

企業間の信頼関係を損なうリスクは非常に大きいです。

 

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### 5. 派遣元が今すぐ取り組むべき「3つの基本対策」

 

社会保険労務士として、派遣会社の皆さまに特に意識していただきたい対策は次の3つです。

 

#### ① 派遣先の労働時間を「見える化」する

派遣社員の勤怠データを共有し、週単位・月単位で労働時間を確認する仕組みを作りましょう。 

勤怠システムの連携や、派遣先とのデータ交換ルールを明確にすることがポイントです。

 

#### ② 健康管理の徹底

定期健康診断、ストレスチェックの実施状況を確認し、異常があれば早めに面談・対応を行う。 

特に「残業が多い社員」へのフォロー体制を整えることが重要です。

 

#### ③ 36協定・労使協定の再点検

「36協定」が形式的になっていないか、実態と乖離していないかを確認します。 

特別条項付き協定が必要な場合は、上限時間や手続きも慎重に見直しましょう。

 

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### 6. 派遣先とのコミュニケーションが鍵

 

長時間労働の是正は、派遣先との関係構築なしには実現できません。 

派遣元が一方的に「是正してください」と言っても、現場は動きません。

 

理想的なのは、**「労務改善を一緒に進めるパートナー」**という立場を築くこと。 

そのために有効なのが、定期的な「労務コンディション共有会議」です。

 

- 派遣社員の労働時間・残業傾向の共有 

- 健康診断結果やストレスチェック結果のフィードバック 

- 派遣先・派遣元双方の課題共有と改善策検討 

 

このような会議を四半期ごとに実施するだけで、労務トラブルの芽を早期に摘むことができます。

 

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### 7. データドリブン労務管理のすすめ

 

近年では、AIやクラウド勤怠システムを活用した「データ労務管理」が主流になりつつあります。 

たとえば、勤怠データを自動集計して残業時間が上限に近づいたら通知する仕組みを導入するなど、 

“人が気づく前にシステムが警告する”仕組みを整えるのです。

 

データに基づく管理は、派遣社員の健康を守るだけでなく、 

派遣元・派遣先双方の「説明責任」を果たすうえでも非常に有効です。

 

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### 8. 「働き方改革」は派遣業にこそ必要

 

長時間労働の是正は、製造業や運輸業だけでなく、**人材派遣業界全体の課題**です。 

「派遣先がそう言っているから」「現場が忙しいから」といった理由で 

放置してきた慣習を見直す時期に来ています。

 

派遣社員の労働環境を整えることは、 

最終的に「優秀な人材が集まり、長く働いてくれる派遣会社」をつくることにつながります。

 

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### 9. 是正勧告を「自社の警鐘」として捉える

 

今回の群馬労働局の是正勧告168件という数字は、 

業界全体にとって「自社も他人事ではない」という警鐘です。

 

- 自社の派遣社員の労働時間は把握できているか? 

- 派遣先の36協定内容を確認しているか? 

- 健康管理体制は十分か? 

 

これらを一つずつ点検するだけでも、再発防止につながります。 

まずは「見える化」から始めてみましょう。

 

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### 10. まとめ:人を守ることが、会社を守ること

 

長時間労働の是正は、単なる法令順守ではありません。 

それは、**働く人の命と健康を守るための最低限のルール**です。

 

派遣元がこのルールを自らの経営軸に据えることで、 

結果的に「信頼されるパートナー企業」としての価値を高めることができます。

 

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👩‍💼 **社会保険労務士としてのメッセージ** 

私はこれまで、多くの派遣会社の労務改善を支援してきましたが、 

「早めの対策をしておけば防げた」ケースが非常に多いと感じています。

 

働く人を守ることは、派遣会社の信頼を守ること。 

この2つは決して別物ではありません。 

今日の記事が、皆さまの労務管理を見直すきっかけになれば幸いです。

 

ご相談の際は当ホームページのお問合せ・相談フォームから、お気軽にお声がけください。

初回のご相談は無料です。

 

【参照記事】

https://news.yahoo.co.jp/articles/86c70f7e12d448b871d93d08376b36d5c6257768

 

#派遣会社 #労務管理 #長時間労働 #社会保険労務士 #是正勧告 #働き方改革 #群馬労働局 #人材ビジネス #健康経営 #人事労務

11月は「過労死防止啓発月間」──派遣業界が労務リスクを減らすための実践チェックリスト   2025.10.17

### はじめに:11月は「過労死防止啓発月間」

 

毎年11月は、厚生労働省が定める「過労死等防止啓発月間」です。 

これは、過労死や過労自殺をなくすために、国全体で労働環境を見直そうという取り組み。 

 

期間中は全国47都道府県で「過労死等防止対策推進シンポジウム」が開催されるほか、 

「過重労働解消キャンペーン」として、企業への重点的な監督指導や相談窓口の設置が行われます。 

 

ここ数年で働き方改革が進んだとはいえ、 

「サービス残業」「長時間労働」「休みが取れない」といった問題は依然として現場に根強く残っています。 

 

特に派遣業界では、 

「派遣先の管理下にあるスタッフの労働時間をどう把握するか?」 

という点が非常に難しく、労務リスクを抱えやすい業界構造にあります。 

 

今回は、社会保険労務士の視点から、 

この啓発月間にあわせて派遣会社が見直すべき「労務リスクと実践チェックリスト」をまとめました。

 

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### 1. 派遣元としての「労務管理責任」を再確認する

 

まず大前提として、派遣スタッフの労働時間・健康管理については、 

派遣先だけでなく「派遣元」も責任を負っています。 

 

労働者派遣法では、派遣元はスタッフの「雇用主」として、 

安全衛生や労働条件の確保に関する義務を明確に負っています。 

 

つまり、 

「派遣先に任せているから大丈夫」という考え方は、 

法的には通用しないのです。 

 

特に、派遣先が長時間労働を強いていたり、 

残業申請が適切に行われていなかった場合、 

派遣元にも監督責任が問われる可能性があります。

 

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### 2. 厚労省が重点的にチェックするポイント

 

厚生労働省の「過重労働解消キャンペーン」では、 

以下の3つの観点で重点的に監督指導が行われます。

 

- 36協定を超える長時間労働 

- 賃金不払残業(サービス残業) 

- 健康障害リスク(過労死ライン超の勤務)

 

これらはどれも、派遣会社にとって“他人事ではない”テーマです。 

 

特に、派遣スタッフが複数の現場に関わるケースや、 

派遣先が独自に勤怠を管理している場合、 

派遣元が把握できていない「隠れ残業」が発生していることも少なくありません。 

 

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### 3. 労務リスクが顕在化する「3つの瞬間」

 

私がこれまで顧問先で見てきた中で、派遣会社が労務トラブルに発展しやすい瞬間は、主に次の3つです。

 

1. **勤務時間の申告が派遣先任せになっているとき** 

→ 派遣スタッフの勤務実績が正確に報告されず、後で残業代請求になることも。 

 

2. **体調不良やメンタル不調に早期対応できなかったとき** 

→ 退職や労災申請につながり、企業イメージにも影響。 

 

3. **36協定の内容が現場実態と乖離しているとき** 

→ 実際の残業が協定を超えており、監督指導で是正勧告を受けるケースも。 

 

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### 4. 労務管理の“見直し”が必要なサイン

 

次のような兆候が見られたら、 

社内の労務管理体制を早急に見直すタイミングです。

 

- 勤怠データの提出が毎月ギリギリになっている 

- 派遣先との報告ルールが人によって違う 

- 有給休暇の取得状況を把握できていない 

- 月末に「残業時間の修正」が頻発している 

- 「派遣スタッフの離職理由」が曖昧 

 

こうした“管理のほころび”は、日常業務では見逃されがちですが、 

放置すると、会社全体のコンプライアンスリスクに発展しかねません。 

 

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### 5. 実践チェックリスト:派遣会社が今すぐ取り組むべき5項目

 

この11月、ぜひ次の項目を社内で点検してみてください。

 

✅ **① 労働時間の把握方法は派遣元でも確認できるか?** 

→ 勤怠システムを活用し、派遣先任せになっていないかを確認。 

 

✅ **② 36協定の内容は現場の実態に即しているか?** 

→ 年度更新時に形式だけの協定になっていないか見直しを。 

 

✅ **③ 残業の申請・承認ルールは明確か?** 

→ 「上司の口頭指示だけ」で残業していないか要確認。 

 

✅ **④ 健康フォロー(面談・アンケートなど)を実施しているか?** 

→ 長時間勤務者への面談記録が残っているかチェック。 

 

✅ **⑤ 派遣スタッフからの相談ルートは確保されているか?** 

→ 労働相談窓口を明確にし、気軽に声を上げられる雰囲気を作る。 

 

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### 6. 実際に取り組む企業の好事例

 

ある中堅派遣会社では、 

勤怠管理を「派遣先+派遣元の両方で確認」できるクラウドシステムを導入しました。 

 

スタッフがスマホで打刻し、派遣先の承認を得た上で、 

派遣元がリアルタイムに勤務状況をチェック。 

 

結果として、 

・残業時間の月次修正がゼロに 

・過重労働者の早期発見が可能に 

・スタッフ満足度が向上し、離職率が約20%改善 

 

という成果が生まれました。 

 

“仕組みで防ぐ”ことが、いちばん確実なリスク対策です。

 

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### 7. 「法令遵守」だけでなく「信頼獲得」のために

 

労務管理は「罰則を避けるため」ではなく、 

「人と企業が長く信頼関係を築くため」のものです。 

 

派遣スタッフにとって、 

“安心して働ける環境”は何よりのモチベーションになります。 

 

一方、派遣先企業にとっても、 

「きちんと管理できる派遣元」と仕事をしたいのは当然のこと。 

 

つまり、労務管理の質を高めることは、 

派遣先との取引拡大にもつながる“攻めの施策”なのです。

 

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### 8. 社労士が見てきた「現場のリアル」

 

私が顧問として関わってきた中で、 

多くの派遣会社が抱える課題は「制度設計」よりも「運用の徹底」にあります。 

 

例えば、36協定は作っていても、 

現場の管理者がその内容を理解していないケースが多い。 

 

あるいは、 

勤怠入力の締めが派遣先によって異なり、 

最終的に派遣元がデータを集約できない──そんな問題もあります。 

 

重要なのは、“仕組み”よりも“人が動く運用”。 

たとえば以下のような工夫が有効です。

 

- 週1回、勤怠報告を簡易的に共有する 

- 月1回、管理担当者間で情報交換ミーティングを行う 

- 長時間勤務者をシステムで自動通知する 

 

小さな取り組みでも、継続すれば確実にリスクが減ります。

 

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### 9. 今こそ「働き方を見直す」タイミング

 

過労死防止啓発月間は、単なるキャンペーンではありません。 

「会社として働かせ方を見直す」ための絶好の機会です。 

 

この1カ月間だけでも、 

・自社の36協定を読み直す 

・派遣先との情報共有体制を確認する 

・スタッフの声を聞くミーティングを行う 

 

といった小さなアクションを実行してみてください。 

その積み重ねが、企業文化の改善につながります。 

 

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### 10. まとめ──“守りの労務管理”から“信頼の労務管理”へ

 

派遣業界は、人を扱うビジネスでありながら、 

最も「人の働き方」にリスクが集中する業界でもあります。 

 

だからこそ、法令遵守をベースに、 

人を大切にする仕組みを整えることが、 

最終的に企業価値を高めることにつながります。 

 

この11月、社内で「労務管理チェック会議」を開いてみてください。 

ほんの1時間でも、課題と改善点が見えてくるはずです。 

 

社会保険労務士として、 

私は派遣業界の現場を知る立場から、 

“机上の理論ではなく、現場で回る仕組み”づくりを支援しています。 

 

過労死防止啓発月間をきっかけに、 

「守る労務」から「育てる労務」へとシフトしていきましょう。

 

もし、働き方や労務管理で不安があれば、 

ぜひ一度ご相談ください。 

 

当ホームページのお問合せ・相談フォームから、お気軽にお声がけください。

初回のご相談は無料です。

 

【参照記事】

 https://apj.aidem.co.jp/current/detail/5754.html 

 

【参照リンク】

厚生労働省「過重労働解消キャンペーン」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/roudoukijun/campaign_00004.html

 

#過労死防止 #労務管理 #派遣会社 #働き方改革 #社労士コラム #労働時間管理 #36協定 #健康経営

2026年カスハラ対策義務化で何が変わる?派遣会社が今すぐ取り組むべきこと   2025.10.15

### 1. はじめに:カスハラ防止が「企業の義務」になる時代へ 

 

2026年中に施行予定の「改正労働施策総合推進法」によって、 

企業は「カスタマーハラスメント(カスハラ)」防止のための措置を講じることが義務化されます。 

 

これまでは、パワーハラスメント(パワハラ)やセクシャルハラスメント(セクハラ)など、 

社内で起きるハラスメントに対して企業の防止義務が定められていました。 

しかし、「顧客から従業員に対するハラスメント」に関しては、明確な法的義務は存在していませんでした。 

 

つまり、「お客様からの暴言」「過度なクレーム対応」「人格を否定するような要求」など、 

従業員が日常的に受けていた精神的負担に対して、企業として守るための仕組みが不十分だったのです。 

 

改正法の成立により、カスハラはようやく法の下で正式に「防止義務の対象」となりました。 

これは、職場におけるメンタルヘルスや安全配慮義務の観点からも、非常に大きな一歩です。 

 

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### 2. カスハラとは?その定義と派遣現場の実情 

 

「カスタマーハラスメント(カスハラ)」とは、 

顧客が企業やその従業員に対して、社会通念を超える不当な言動を行うことを指します。 

 

典型的な事例としては、次のようなケースが挙げられます。 

 

- 暴言や威圧的な態度を繰り返す 

- 不当な要求を執拗に続ける 

- 長時間にわたってクレーム対応を強要する 

- SNSなどでの誹謗中傷 

- 人格を否定するような言葉を投げつける 

 

派遣スタッフの現場では、特に「派遣先の顧客」からこうした行為を受けるケースが少なくありません。 

しかし、多くのスタッフは「お客様だから仕方ない」「派遣先との関係を悪くしたくない」といった理由から、 

我慢してしまう傾向にあります。 

 

結果として、心身の不調や離職につながるケースもあり、 

企業にとっては“見えないコスト”として大きな損失となっています。 

 

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### 3. 改正法の概要:企業に求められる対応 

 

今回の改正では、以下の3点が企業に求められます。 

 

#### ① 防止方針の明確化 

カスハラに対する企業の基本的な考え方を明文化し、 

全従業員が理解できる形で共有する必要があります。 

社内ポリシーや就業規則に明記し、派遣先企業とも共有することが望まれます。 

 

#### ② 相談体制・窓口の整備 

被害を受けた従業員が安心して相談できる窓口を設けることが義務化されます。 

担当者は守秘義務を持ち、適切な対応・助言を行う体制を整えることが求められます。 

 

#### ③ 実効性の確保 

単に「方針を掲げただけ」では不十分です。 

教育・研修・マニュアル整備などを通じて、実際に防止策が機能するように運用することが必要です。 

 

罰則規定は設けられていませんが、行政指導や公的評価、さらには取引先からの信用など、 

実質的な社会的リスクを考えれば「やらない理由はない」と言えるでしょう。 

 

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### 4. 同時改正:女性活躍推進法・男女雇用機会均等法 

 

今回の法改正では、「女性活躍推進法」や「男女雇用機会均等法」に関しても重要な変更が行われました。 

 

#### 女性活躍推進法の改正 

従業員101人以上の企業に対し、 

「女性管理職比率」と「男女の賃金差異」の公表が義務付けられます。 

施行は2026年4月1日。 

 

企業の透明性がより一層求められ、 

「人材の見える化」を進めることが社会的責任となっていきます。 

 

#### 男女雇用機会均等法の改正 

採用活動中の学生に対するセクハラ防止も義務化されました。 

特に採用担当者や面接官に対しては、明確なルールや教育体制の整備が必要です。 

 

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### 5. 派遣会社が取るべき3つの実務対応 

 

派遣会社にとって、今回の改正は“自社内の体制整備”だけでなく、 

“派遣先との協力体制”が極めて重要になります。 

 

#### ステップ①:現場の声を聞く 

まずは、派遣スタッフ・営業担当・管理職などから、 

現場で実際にどのような顧客対応が行われているかをヒアリングします。 

「カスハラを受けたけど報告しなかった」というケースがないか確認することが第一歩です。 

 

#### ステップ②:方針とマニュアルの整備 

カスハラの定義や対応手順、報告ルート、派遣先への連絡方法などを具体的に文書化します。 

派遣契約書には「カスハラ防止における協力条項」を盛り込むことで、 

派遣元・派遣先双方の責任範囲を明確にできます。 

 

#### ステップ③:教育と啓発 

派遣スタッフ・営業担当・派遣先責任者など、立場ごとに適切な研修を実施します。 

「我慢する」文化から「報告・相談する」文化へ。 

相談しやすい環境をつくることで、問題の早期発見・再発防止につながります。 

 

---

 

### 6. カスハラ対策のポイント:派遣先との連携が鍵 

 

派遣会社単独での対応には限界があります。 

実際にカスハラが発生する現場は、派遣先企業であることがほとんどです。 

 

そのため、派遣契約時や定例ミーティングなどを活用し、 

派遣先と共に「カスハラ防止方針」を共有することが不可欠です。 

 

派遣スタッフが安心して働ける環境を整えることは、 

派遣先にとっても定着率の向上や生産性の向上につながるメリットがあります。 

 

企業同士の協働で、より良い就労環境を築いていくことが理想です。 

 

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### 7. カスハラ対策を「義務」から「企業文化」へ 

 

今回の改正は単なる法令対応ではありません。 

「従業員を守ること」が「企業を守ること」に直結する時代が来ています。 

 

カスハラ防止を経営課題として位置づけることで、 

企業のブランド価値や採用力も確実に向上します。 

 

従業員が安心して働ける環境を整えることは、 

結果的に顧客満足度やサービス品質の向上にもつながります。 

 

「法に従う」だけでなく、「人を守る文化をつくる」ことが、 

今後の企業経営における重要な視点になるでしょう。 

 

---

 

### 8. フリーランス保護にも広がる議論 

 

改正法の付則には、「フリーランスとして働く人の保護を検討する」と明記されています。 

働き方の多様化が進む中で、雇用関係にない立場の人たちに対しても、 

ハラスメント防止や安全配慮が求められるようになる可能性があります。 

 

派遣会社としても、業務委託契約を結ぶ外部人材への対応を見直すきっかけになるでしょう。 

 

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### 9. 社労士の視点:法令対応と現場運用の“橋渡し”を 

 

社会保険労務士として感じるのは、制度ができても「現場で機能しない仕組み」が多いということです。 

たとえば、「相談窓口を設けたけれど、誰も使わない」「報告しても対応が遅い」など、 

運用面での課題が必ず発生します。 

 

大切なのは、“制度を現場で活かすこと”。 

 

そのためには、 

- 実際の相談対応フローを明確にする 

- 担当者教育を継続的に行う 

- 相談内容を匿名で共有し、再発防止に生かす 

といった地道な仕組みづくりが必要です。 

 

社労士としては、 

就業規則・派遣契約・研修・相談体制の整備など、 

「制度設計+運用支援」の両面から企業をサポートしていくことが求められます。 

 

---

 

### 10. まとめ:2026年に向けた「守るための準備」を今から 

 

2026年のカスハラ防止義務化は、 

すべての企業に「従業員を守る経営」を求める流れの象徴です。 

 

派遣会社にとっては、 

スタッフの安全と働きやすさを守ることが、 

結果的にクライアント企業の信頼や自社の成長にもつながります。 

 

「お客様は神様」という時代から、 

「お客様も従業員も大切にする時代」へ。 

 

今こそ、自社の現場を見直し、 

相談体制や方針整備をスタートさせるタイミングです。 

 

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👩‍💼 社労士として、現場実務と法令の間に立ち、 

派遣会社の皆さまが安心して対応できるようお手伝いします。 

制度対応はもちろん、「現場で機能する仕組みづくり」を一緒に進めていきましょう。 

 

当ホームページのお問合せ・相談フォームから、お気軽にお声がけください。

初回のご相談は無料です。

 

【関連記事】

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA027PU0S5A600C2000000/

 

【参考】

厚生労働省「令和7年の労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)等の一部改正について」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/zaitaku/index_00003.html

【令和7年版】派遣会社が賃上げと人材育成を両立できる「業務改善助成金」解説   2025.10.10

### はじめに:派遣業界に求められる“持続可能な賃上げ”

 

令和7年に入り、派遣業界を取り巻く環境は大きく変化しています。 

人材不足の加速、採用コストの上昇、そしてクライアント企業からの「スキルの高い人材を」という要望。 

 

こうした中で、派遣会社にとって避けて通れないテーマが**「賃上げ」と「人材育成」**です。 

 

しかし、現実的には次のような課題を抱える会社が多いのではないでしょうか。

 

- 時給アップの原資をどう確保するか 

- 教育研修にかけるコスト負担が重い 

- 労務管理・人材マッチングに手間がかかり生産性が上がらない 

 

こうした悩みをサポートするために、厚生労働省が令和7年9月に**「業務改善助成金」**を拡充しました。 

本記事では、この助成金の仕組みと、派遣会社がどのように活用できるのかを、社会保険労務士の視点で詳しく解説します。

 

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### 1. 「業務改善助成金」とは?──賃上げと生産性向上を同時に支援

 

「業務改善助成金」は、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げ、 

そのうえで**生産性向上に資する設備投資や人材育成を行った企業に対し、費用の一部を助成**する制度です。 

 

つまり、「賃上げ+改善投資」を行う企業を支援する仕組み。 

賃上げのみならず、企業が中長期的に“生産性を上げながら持続的な賃上げを実現する”ことを目的としています。

 

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### 2. 令和7年度の拡充ポイント

 

今回の拡充(令和7年9月改定)では、次の3点が大きく見直されました。

 

1. **助成率・上限額の引き上げ** 

   小規模事業者を中心に、助成率が最大90%に引き上げ。 

   上限額も従来より高く設定されています。

 

2. **対象範囲の拡大** 

   生産性向上に寄与する「外部コンサルティング費用」や「教育訓練費用」も対象として明確化。 

   派遣業でも利用しやすくなりました。

 

3. **申請手続きの簡素化** 

   電子申請やテンプレート化された様式が導入され、事務負担が軽減。 

 

これにより、「申請が面倒そう」と感じていた中小企業・派遣会社も、活用しやすくなっています。

 

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### 3. 助成対象となる具体的な取組内容

 

派遣会社の場合、業務改善助成金の対象になる取組は多岐にわたります。 

以下のようなケースが代表的です。

 

- **人材育成・教育訓練費** 

  派遣スタッフや営業担当へのスキルアップ研修、キャリア形成支援、コンプライアンス研修など。

 

- **外部コンサルティング費用** 

  業務プロセス改善、人事制度設計、派遣先との契約見直しなどを目的とした専門家への依頼費。

 

- **システム導入・IT投資** 

  勤怠管理システム、マッチング支援ツール、労務管理クラウドなど、生産性を高めるシステム導入。

 

- **設備投資** 

  オフィス機器やデジタル化に関連する備品導入(※業務効率化に関連していることが条件)。

 

いずれも「業務の効率化」「人への投資」「労働環境の改善」に資する内容であれば対象になります。

 

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### 4. 助成金の支給までの流れ

 

助成金は「申請前に賃上げ・投資計画を立てる」ことが前提です。 

以下の流れで手続きを進めます。

 

1️⃣ **計画の策定** 

賃上げ額、対象従業員、投資内容、費用見積もりを明確にします。 

 

2️⃣ **申請書の提出** 

都道府県労働局へ申請。交付決定通知を受け取るまで実施はできません。 

 

3️⃣ **事業の実施** 

計画通りに賃上げと投資を行います。 

 

4️⃣ **実績報告と支給申請** 

報告書類を提出後、審査を経て助成金が支給されます。 

 

※ポイントは「計画前に動かない」こと。 

すでに導入済み・実施済みの投資は対象外です。

 

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### 5. 助成金額と助成率の目安

 

助成金の金額は、 

「生産性向上のための投資額 × 助成率(最大90%)」または「上限額」のいずれか低い方となります。

 

令和7年度の一般的な上限は以下のとおりです。

 

| 引上げ額 | 上限額(中小企業) | 助成率 |

|------------|----------------|-----------|

| 30円以上 | 50万円〜200万円 | 4/5〜9/10 |

| 60円以上 | 200万円〜400万円 | 4/5〜9/10 |

| 90円以上 | 300万円〜600万円 | 4/5〜9/10 |

 

つまり、**中小の派遣会社でも最大600万円近くの助成が可能**です。

 

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### 6. 賃上げの定義と注意点

 

業務改善助成金の「賃上げ」は、単に給与を上げることではありません。 

具体的には「事業場内最低賃金」を一定額以上引き上げることが条件です。 

 

たとえば、 

- 派遣スタッフの時給単価を引き上げる 

- 内勤社員の基本給を見直す 

- 契約更新時に新しい賃金規定を適用する 

 

といった形で「全社的に最低賃金を底上げ」することが求められます。 

 

一時的な手当やボーナスではなく、「恒常的な賃金の引上げ」がポイントです。

 

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### 7. 派遣会社が活用すべき理由

 

派遣業界では、他業種と比べて「教育訓練費」が助成対象になりやすい特徴があります。 

なぜなら、派遣スタッフのスキルアップが事業全体の生産性向上に直結するからです。

 

📌 例えばこんなケース:

 

- IT派遣スタッフにプログラミング基礎研修を導入 

- オフィス派遣スタッフにExcel・ビジネスマナー研修を実施 

- 営業担当に労務コンプライアンス研修を実施 

 

これらはいずれも助成対象に含まれる可能性があります。 

 

教育投資は「短期的な費用」ではなく「長期的な資産」。 

派遣会社こそ、人材育成を助成金で支える好機です。

 

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### 8. よくある誤解と落とし穴

 

助成金の相談を受けていると、次のような誤解が少なくありません。

 

❌ 「すでに導入したシステムも対象になる」 

→ 対象は**申請後に実施するもののみ**です。 

 

❌ 「個人研修も全部助成される」 

→ 助成対象は「全体の生産性向上につながる」研修。特定社員だけでは難しい場合も。 

 

❌ 「派遣スタッフが少ないから関係ない」 

→ 正社員・契約社員を含む「労働者」がいれば対象。少人数でも申請可能です。 

 

手続きや要件を誤解すると、せっかくのチャンスを逃してしまうこともあります。

 

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### 9. 成功するための実践ポイント

 

社労士として助成金活用を支援してきた経験から、 

成功する会社に共通する3つのポイントを挙げます。

 

1️⃣ **「目的」を明確にする** 

助成金を“もらうこと”が目的ではなく、“人材育成や業務効率化”という目的を明確に。 

 

2️⃣ **「経営と現場をつなぐ」** 

賃上げを経営判断として掲げ、現場の社員にも意義を共有する。 

 

3️⃣ **「継続的に改善を行う」** 

一度きりの投資ではなく、毎年の改善サイクルを仕組み化する。 

 

この3つを意識することで、助成金の効果は長期的な経営改善へとつながります。

 

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### 10. まとめ:賃上げを「コスト」ではなく「投資」に変える

 

派遣会社にとって、賃上げは避けて通れないテーマです。 

しかし、それを単なるコストとして捉えるのではなく、 

**「人材育成と生産性向上のための投資」**として位置づけることで、経営の質は確実に高まります。 

 

「業務改善助成金」は、その実現を後押しする強力な制度です。 

 

賃上げ、人材育成、システム投資――これらを一体として考え、 

国の支援を上手に取り入れることで、派遣業の競争力を次のステージへ引き上げましょう。

 

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📎 **参考リンク:** 

厚生労働省「業務改善助成金」 

👉 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.html

 

---

 

💡 **社労士としてのひとこと**

 

助成金の申請は「正確な計画づくり」が最も重要です。 

「自社の計画は対象になる?」「賃上げ額はどの程度が妥当?」 

そんな疑問をお持ちの派遣会社様は、ぜひ専門家に一度ご相談ください。 

 

私たち社会保険労務士は、制度を“現場で活かす”ための具体的な支援を行っています。 

当ホームページのお問合せ・相談フォームから、お気軽にお声がけください。

初回のご相談は無料です。

 

 

#業務改善助成金 #派遣会社 #人材育成 #賃上げ支援 #生産性向上 #社労士ブログ

厚労省が発表!ストレスチェック義務化の対象拡大で派遣会社が注意すべき3つの点   2025.10.06

## はじめに:ストレスチェック義務化がすべての企業へ

 

厚生労働省は、従業員のメンタルヘルス状態を調べる「ストレスチェック制度」を、 

**全ての企業に義務化する方針**を正式に打ち出しました。

 

これまでストレスチェックの実施が義務付けられていたのは「従業員50人以上」の企業のみ。 

一方、50人未満の事業所、いわゆる零細企業や個人事業主を中心とした小規模事業所については、 

努力義務にとどまっていました。

 

しかし、今回の制度改正によって状況は一変します。 

厚労省によれば、新たに義務化の対象となる事業所は**約364万カ所**、 

対象労働者は**およそ2,893万人**にものぼります。 

日本の企業の大半を占める中小・零細事業所が、新たに対応を迫られることになります。

 

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## 背景:なぜ今、義務化なのか?

 

ストレスチェック義務化の背景には、 

「職場におけるメンタル不調の急増」という深刻な課題があります。

 

厚労省によると、**精神障害による労災認定件数はこの10年間で約2倍に増加**。 

2023年度には883件にのぼり、過労やハラスメント、長時間労働による心理的負担が 

依然として多くの職場に存在していることが分かります。

 

また、2022年11月から2023年10月の間に「メンタル不調で退職や1か月以上の休業者が出た」 

と答えた事業所は**13.5%**に達し、年々増加傾向です。 

特に小規模事業所ほど、職場内の人間関係や仕事の偏りによるストレスが蓄積しやすく、 

それに対するケア体制が整っていないのが現状です。

 

この状況を受けて厚労省は、ストレスチェック制度を「努力義務」から「義務化」へと 

一段階引き上げる方針を決定。 

今後、**労働安全衛生法の改正案**として国会提出が検討されています。

 

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## 派遣業界にとっての意味:複雑な構造が浮き彫りに

 

この制度改正、派遣業界にとっては特に重要な意味を持ちます。 

なぜなら、派遣労働者は「派遣元」と「派遣先」という**二重の職場環境**の中で働いているからです。

 

通常、ストレスチェックの実施主体は「雇用主」である派遣元事業主。 

しかし、実際に日々の業務を行うのは派遣先企業であり、 

ストレスの多くは派遣先の環境や人間関係、労働条件から生じます。

 

このため、制度の運用にあたっては次のような課題が想定されます。

 

- 派遣元がどのように派遣先の職場環境に関する情報を把握するか 

- チェック結果をどの範囲で共有できるのか(個人情報・プライバシーの扱い) 

- ストレスチェック結果を踏まえた「職場改善」をどちらの責任で行うのか 

 

これらの点を明確にしないまま制度が動き出すと、 

派遣元・派遣先間でトラブルや責任の押し付け合いが生じる可能性もあります。 

 

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## 注意すべき3つのポイント

 

では、派遣会社が今回の義務化を前に、具体的に注意すべきポイントは何でしょうか。 

ここでは、社労士としての実務経験から「3つの観点」で整理します。

 

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### ① 実施体制の整備【キーワード:ストレスチェック 体制構築】

 

まず最初のポイントは、「誰が」「どのように」実施するのかという体制づくりです。

 

ストレスチェックは、医師・保健師・看護師・公認心理師など、 

専門職による実施が求められます。 

しかし零細規模の派遣会社では、社内に専門職を配置するのは難しいため、 

多くの場合は外部委託となります。

 

委託先を選ぶ際は以下を確認しましょう。

 

- 派遣労働者の就業形態に理解があるか(多様な職場に派遣されている点) 

- オンライン対応が可能か(拠点が分散している場合) 

- 結果の管理・保管が適切に行われるか(個人情報保護法への対応) 

 

さらに、実施後の「高ストレス者への医師面接指導」や「結果のフィードバック」まで含めた 

運用フローを社内で整備することが重要です。

 

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### ② 派遣先との協力体制【キーワード:派遣先 情報共有】

 

次に大切なのは、派遣先との連携です。

 

ストレスチェックは個人のプライバシーに関わる情報であるため、 

結果をそのまま派遣先に共有することはできません。 

しかし、派遣先の職場環境に起因するストレスが多い場合、 

派遣元だけでの改善は難しいのが現実です。

 

したがって、派遣契約書や労働者派遣契約に以下のような条項を追加・明確化しておくことが望まれます。

 

- 健康管理・安全衛生に関する協定書の締結 

- ストレスチェック実施に関する情報共有ルール 

- メンタル不調者発生時の対応フロー 

 

こうしたルールが明文化されていないと、 

「派遣先の環境が原因で体調を崩した場合、どちらが責任を負うのか?」という問題が 

曖昧になりがちです。

 

今後の法改正を見据え、契約段階で「健康管理に関する取り決め」を盛り込むことが、 

派遣元にとってのリスクヘッジになります。

 

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### ③ 結果を活かす“職場改善”への取り組み【キーワード:職場環境 改善】

 

ストレスチェックは「やったら終わり」ではありません。 

むしろ本質は、「チェック結果をどのように活かすか」にあります。

 

チェックの結果、特定の職場や部署で高ストレス者が多い場合、 

その背景には「業務量の偏り」や「コミュニケーション不足」など、 

構造的な問題が隠れていることが多いです。

 

派遣会社としては、以下のような取り組みを行うことが効果的です。

 

- 派遣スタッフ向けアンケートによる定期的な職場満足度調査 

- 派遣先担当者へのフィードバックと職場環境改善の提案 

- メンタルヘルス研修・カウンセリング窓口の設置 

 

これにより、派遣スタッフが安心して働ける職場環境を維持でき、 

結果的に定着率や派遣先からの信頼にもつながります。

 

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## 厚労省の支援と今後のスケジュール【キーワード:労働安全衛生法 改正】

 

厚労省は、零細事業所の対応を支援するため、 

ストレスチェックの運用マニュアルや事例集を作成する方針を示しています。 

特に「プライバシー保護の方法」や「結果の管理体制」については、 

今後明確なガイドラインが提示される見通しです。

 

労働政策審議会の安全衛生分科会で議論が進められ、 

**2025年度中にも労働安全衛生法改正案が国会提出される可能性**があります。 

つまり、実施は早ければ**2026年度以降**になる見込みですが、 

準備には時間がかかるため、今のうちから体制づくりを始めておくことが得策です。

 

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## 義務化をチャンスに変える「健康経営」の視点【キーワード:健康経営 派遣スタッフ】

 

ストレスチェックの義務化を「負担」と感じる企業も多いでしょう。 

しかし、視点を変えればこれは**企業の魅力を高めるチャンス**でもあります。

 

職場の心理的安全性を高めることは、 

派遣スタッフの定着率向上・ミスマッチの減少・生産性の向上に直結します。 

いわば「人を大切にする企業文化」の形成です。

 

また、ストレスチェックの結果を定期的に分析し、 

「派遣スタッフが働きやすい職場ランキング」などの指標を作ることで、 

採用力の向上にもつながります。

 

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## 社会保険労務士がサポートできること【キーワード:社労士 ストレスチェック 支援】

 

社会保険労務士としては、以下のような支援が可能です。

 

- ストレスチェック制度の設計・運用支援 

- 派遣元・派遣先の役割分担に関する協定書の作成 

- 結果を活用した職場改善施策の提案 

- 高ストレス者対応や復職支援に関する助言 

 

特に中小・零細の派遣会社では、限られた人員で制度運用を行うため、 

「外部の専門家との連携」が実効性を高めるカギになります。

 

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## まとめ:ストレスチェックを「義務」ではなく「投資」に

 

今回の義務化拡大は、 

単なる法令遵守の話ではなく、企業の持続可能性に関わるテーマです。

 

人が定着し、安心して働ける環境を整えることは、 

これからの時代の“企業競争力”そのもの。

 

派遣会社としては、 

「法対応をいち早く整える企業」ではなく、 

「制度を上手に活かして人を守る企業」になることが求められています。

 

ストレスチェックを「やらされる義務」ではなく、 

「人と組織を成長させる投資」として捉える。 

その一歩を、今から踏み出すことが大切です。

 

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📘 **まとめポイント**

 

- 厚労省がストレスチェックの義務化対象を全企業に拡大 

- 派遣会社は「体制整備」「派遣先との協定」「職場改善」が3大テーマ 

- 義務化は2026年頃の見込み。今から準備を進めることが重要 

- ストレスチェックは“健康経営”への第一歩 

- 社労士による制度設計・運用支援を活用し、安心して対応を 

 

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社会保険労務士として、派遣会社の皆さまが安心して制度対応を進められるよう、 

実務に即したサポートを行っています。 

 

お困りの際は、当ホームページのお問合せ・相談フォームから、お気軽にお声がけください。

初回のご相談は無料です。

 

 

※参照記事)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA1132D0R11C24A0000000/

 

※参照リンク)厚生労働省「ストレスチェック等の職場におけるメンタルヘルス対策・過重労働対策等」

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/index.html

 

教育訓練休暇給付金とは?派遣会社が知っておくべき制度のポイントと活用法   2025.10.03

### はじめに 

2025年10月1日、新たにスタートした「教育訓練休暇給付金」。 

これは労働者が会社を辞めずに無給の休暇を取り、その間に学習や訓練に専念できるよう支援する制度です。休暇中には雇用保険から賃金の一定割合が支給され、生活費の不安を抱えずにリスキリング(学び直し)に挑戦できるという画期的な仕組みです。 

 

特に派遣会社にとって、この制度は「社員のキャリア支援」「人材定着」「派遣先からの信頼獲得」に直結する重要な制度となり得ます。今回は、派遣会社の経営者・人事担当者に向けて、教育訓練休暇給付金の内容やメリット、実務上の注意点を解説していきます。 

 

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### 1. 教育訓練休暇給付金とは? 

教育訓練休暇給付金は、雇用保険の給付制度の一つです。労働者が自発的に教育や訓練のための休暇を取得する場合、無給であってもその期間の生活を保障するために、失業給付に準じた額が支給されます。 

 

つまり、仕事を辞めなくても「一時的に仕事を離れて学ぶ」ことができるという点が特徴です。従来は「退職してから学び直す」選択肢が中心でしたが、制度によって「在職しながらキャリアを積み直す」ことが現実的になりました。 

 

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### 2. 制度が始まった背景とリスキリングの重要性 

AIやDXの進展により、労働市場は急速に変化しています。これまで必要とされたスキルが数年で不要になる一方、新しいスキルへの需要は高まり続けています。 

 

こうした状況の中で注目されるのが「リスキリング(Reskilling)」です。新しい職務や業務に対応するために、既存の人材が再び学び直すことが企業競争力の鍵になっています。 

 

教育訓練休暇給付金は、こうした社会背景に対応する形で創設されました。労働者が安心してキャリア形成に取り組めるよう支援することで、結果的に企業全体の成長にもつなげる狙いがあります。 

 

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### 3. 対象となる労働者の条件 

給付金を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。 

 

1. **雇用保険の一般被保険者であること** 

   (65歳以上の高年齢被保険者や短期雇用特例被保険者は対象外) 

 

2. **休暇開始前の2年間に12か月以上の被保険者期間があること** 

   ※月に11日以上勤務している必要があります。 

 

3. **雇用保険の加入期間が通算5年以上あること** 

 

4. **本人が自発的に教育訓練休暇を取得していること** 

   (業務命令ではなく、自分の希望での休暇であることが必須) 

 

派遣社員も、派遣元の雇用契約を通じて雇用保険に加入していれば対象となり得ます。 

 

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### 4. 支給額と給付日数の具体例 

給付額は、失業給付と同じ計算方法で算定されます。 

 

- 月収35万円の労働者 → 約19.5万円/月が支給 

- 給付日数は加入期間によって変動 

  - 5年以上10年未満:90日 

  - 10年以上20年未満:120日 

  - 20年以上:150日 

 

例えば、10年以上勤務している社員が4か月の語学留学に行く場合、最大で約78万円が支給される計算です。 

 

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### 5. 利用できる教育訓練の種類 

対象となる教育訓練は非常に幅広く設定されています。 

 

- 学校教育法に基づく大学・大学院・短大・高専・専修学校など 

- 教育訓練給付金の指定講座(資格取得講座など) 

- 職業安定局長が定める専門的な教育訓練(司法修習、語学留学、海外大学院での修士号取得など) 

 

派遣社員の場合も「資格取得」や「語学研修」といったニーズが多く、現実的に利用しやすい制度と言えます。 

 

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### 6. 手続きの流れと企業側の準備 

制度を利用するには、企業側の準備も欠かせません。 

 

1. **就業規則に教育訓練休暇の規定を整備** 

   → この規定がなければ申請できません。 

 

2. **労働者が「教育訓練休暇取得確認票」を提出** 

   → 事業主が同意した上で進める必要があります。 

 

3. **事業主がハローワークへ書類提出** 

   → 賃金月額証明書などを10日以内に提出。 

 

4. **労働者が申請書類を提出** 

   → ハローワークで審査を受け、受給資格が決定されます。 

 

派遣会社の場合、派遣先との業務調整や代替要員の手配など、現場の調整力も問われます。 

 

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### 7. 派遣会社にとってのメリットと注意点 

教育訓練休暇給付金は、派遣会社にとって大きなメリットがあります。 

 

- 社員のキャリアアップを支援できる 

- 定着率が上がり、人材流出を防げる 

- 「学びを応援する会社」というブランド強化につながる 

 

一方で注意すべき点もあります。 

- 派遣先企業との調整負担 

- 業務の一時的な人員不足 

- 制度利用に伴う就業規則や申請の煩雑さ 

 

このあたりを事前に整備しておくことで、制度活用がスムーズになります。 

 

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### 8. 派遣社員は対象になる?実務での判断ポイント 

派遣社員の場合、雇用契約は派遣元と結んでいるため、給付金の申請も派遣元が対応します。 

 

- **雇用保険に加入していること** 

- **派遣元に教育訓練休暇の規定が整備されていること** 

 

これらが満たされていれば、派遣社員も対象です。 

ただし派遣先との関係調整は不可欠であり、派遣元として「教育訓練休暇取得を認めるかどうか」の判断は重要になります。 

 

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### 9. 不正受給への注意とコンプライアンス体制 

制度利用において最も注意が必要なのが「不正受給」です。 

 

- 実際には教育訓練を受けていないのに申請 

- 書類を偽造して給付を受ける 

- ハローワークへの虚偽報告 

 

こうした行為は、給付金の返還だけでなく「返還額の2倍の追徴」「詐欺罪に問われる可能性」まであります。派遣会社としては、制度を適正に利用するためのコンプライアンス体制を整えておくことが不可欠です。 

 

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### 10. まとめ:社員の学びを応援することが企業の成長につながる 

教育訓練休暇給付金は、単なる給付制度ではなく「人材投資を支える仕組み」です。 

 

派遣会社にとって、社員のリスキリングを応援することは、結果的に企業の競争力を高めることにつながります。 

 

- 社員にとっては安心して学べる環境 

- 企業にとってはスキルアップと人材定着の促進 

- 派遣先にとっては質の高い人材の供給 

 

三者にとってプラスの循環を生み出す可能性を秘めています。 

 

制度は始まったばかり。派遣会社としていち早く理解し、準備を整えることで「社員の未来」と「会社の成長」を同時に支援できるのではないでしょうか。 

 

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※制度の詳細や適用可否は個別の状況によって異なります。導入を検討される場合は、専門家である社会保険労務士にご相談ください。

 

お困りの際は、当ホームページのお問合せ・相談フォームから、お気軽にお声がけください。

初回のご相談は無料です。

 

 

※参照記事)yahooニュース

https://news.yahoo.co.jp/articles/fa4866fb67ca873507a8f59dbb772b34f3183751

 

※参照)厚生労働省「教育訓練休暇給付金」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koyouhoken/kyukakyufukin.html

 

厚労省が注意喚起したスキマバイト問題、派遣ビジネスへの影響とは?   2025.09.29

#### 1. スキマバイト問題とは?最新の動向を整理 

近年、急速に広がっている「スキマバイト(スポットワーク)」。 

アプリを通じて手軽に単発で働ける仕組みとして、学生や副業ワーカーに人気が高まっています。 

 

しかし今、その“便利さ”の裏側で深刻な問題が浮上しています。 

それが「企業都合による直前キャンセル」です。 

 

労働者側が働く準備を整えていたにもかかわらず、企業が一方的にキャンセルを行い、結果として休業補償が支払われないケースが相次いでいるのです。 

 

厚生労働省は2024年、この問題に関して注意喚起を行いました。 

業界団体も新しいガイドラインをまとめていますが、過去の休業補償をどう扱うかについては、最大手のタイミーと厚労省の見解が食い違い、いまだ議論は続いています。 

 

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#### 2. 厚労省と事業者の見解のズレ 

タイミー側は「過去にさかのぼって休業手当を支払う必要はない」と主張しています。 

一方、厚労省は「従前からの留意事項を整理したものにすぎない」とし、ケースによっては支払い義務が生じる可能性を否定していません。 

 

最終的な判断は司法に委ねられるものの、企業側が「支払わなくても大丈夫」と楽観視するのは非常に危険です。 

裁判や労働基準監督署の調査に発展すれば、経済的・社会的コストは計り知れません。 

 

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#### 3. 企業キャンセルが招く具体的リスク 

スキマバイトをキャンセルした企業は、次のようなリスクを抱えることになります。 

 

- **未払賃金債務の発生**:財務諸表に反映が必要 

- **遅延損害金の積み上がり**:14.6%の利率で年々増加 

- **集団訴訟のリスク**:同様のケースが積み重なれば大規模訴訟に発展 

- **労基署の立ち入り調査**:コンプライアンス違反が疑われる 

- **企業価値の棄損**:人材確保や取引先への信頼に影響 

- **役員責任の追及**:任務懈怠責任を問われる可能性 

 

つまり、目先の小さなコストを回避したつもりが、結果的に大きな負担となって返ってくる危険性があるのです。 

 

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#### 4. 「24時間前ならキャンセル可能」の誤解 

業界団体は「労働開始の24時間前であればキャンセル可能」とするガイドラインを示しました。 

しかし、弁護士からはこの基準に対して強い疑問が呈されています。 

 

そもそも「24時間前」という数字に法的な根拠はありません。 

労基法上、使用者の責任で仕事をさせられなかった場合には休業手当の支払い義務があるため、キャンセル理由が企業側にある限り、時間に関係なく補償が必要になるのです。 

 

ホテル予約のように「前日までなら無料キャンセル」という感覚を、労働契約にそのまま持ち込むのは危険だといえます。 

 

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#### 5. 労働者が声を上げにくい構造 

問題をさらに複雑にしているのが、スキマバイトの労働者が「声を上げにくい環境」にあることです。 

 

- 苦情を言えば「評価が下がる」と不安になる 

- 次の仕事が見つかりにくくなる恐れがある 

- 休業補償の金額が少額で「諦めてしまう」ケースが多い 

 

こうした背景があるため、問題が顕在化しにくく、企業側が改善を後回しにする構造になっています。 

 

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#### 6. 派遣ビジネスに潜む同様のリスク 

では、この問題は「スキマバイト特有の話」なのでしょうか? 

答えは **NO** です。 

 

派遣ビジネスでも、単発派遣や短期契約などにおいて、同様のリスクが存在します。 

たとえば、クライアント企業の都合で直前に派遣依頼がキャンセルされた場合、派遣会社とスタッフとの間に労働契約がすでに成立していれば、休業手当の支払いが必要になる可能性があります。 

 

「スポットワークの問題だから自分たちには関係ない」と捉えるのは危険であり、派遣会社にとっても無視できない教訓が含まれています。 

 

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#### 7. 未払賃金の会計上の扱い 

労働法の観点だけでなく、会計上のリスクも無視できません。 

未払賃金は企業にとって「債務」となり、財務諸表に計上する必要があります。 

 

未払い賃金の消滅時効は、2020年4月1日の民法改正とそれに伴う労働基準法の改正により、2020年4月1日以降に支払期日が到来する賃金については原則3年間(当面は経過措置)です。

 

債務を放置すると、金融機関や投資家からの信用を損ない、資金調達や取引関係に悪影響を与える可能性があります。 

派遣会社にとっても、コンプライアンス体制や会計処理の整備は急務です。 

 

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#### 8. 信頼を守るために派遣会社が取るべき対応 

派遣会社が同様のトラブルを避けるためには、以下の取り組みが有効です。 

 

- **契約成立の定義を明確化**:求人提示から契約成立までのフローを社内で統一 

- **キャンセルポリシーの策定**:どのような場合に補償を行うかをルール化 

- **スタッフへの丁寧な説明**:不安や不満が蓄積しないよう透明性を確保 

- **コンプライアンス教育**:営業担当や現場責任者に労働法の基本を徹底 

 

これらを整備することで、法的リスクを減らすだけでなく、スタッフから「信頼できる派遣会社」として選ばれる基盤を築くことができます。 

 

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#### 9. コンプライアンスは“守るべき義務”から“強み”へ 

多くの企業は「コンプライアンス=守らなければならないもの」と捉えがちです。 

しかし実際には、適切な労務管理は **企業価値を高める武器** になります。 

 

- 安心して働ける環境を整えることで人材確保が容易になる 

- 顧客企業からの信頼が増し、取引拡大につながる 

- トラブルを未然に防ぎ、余計なコストを削減できる 

 

派遣業界の競争環境が厳しくなるなかで、「誠実な労務管理」が差別化の大きなポイントになるでしょう。 

 

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#### 10. まとめ:スキマバイト問題は派遣業界への警鐘 

厚労省の注意喚起を受けて浮き彫りになったスキマバイトの直前キャンセル問題。 

これは単なる“アプリ業界の話題”ではなく、派遣ビジネスにとっても重要な教訓を含んでいます。 

 

・労働契約の成立タイミングを正しく理解する 

・キャンセル対応のルールを整備する 

・スタッフに誠実に対応する 

 

これらを徹底することが、派遣会社のコンプライアンス体制を強化し、長期的な企業価値を守ることにつながります。 

 

今後、派遣ビジネスの現場で「急な変更」や「突発的な依頼」が発生するのは避けられません。 

だからこそ、ルールを守りながら柔軟に対応できる体制を整えることが、業界で生き残るための鍵になるのではないでしょうか。 

 

社会保険労務士として、現場に即した仕組みづくりやリスクマネジメントのご相談を承っています。 

「うちは大丈夫かな?」と少しでも不安に思われたら、ぜひ専門家にご相談ください。 

 

コンプライアンスは“コスト”ではなく“投資”。 

信頼される派遣会社づくりの第一歩は、そこから始まります。 

 

お困りの際は、当ホームページのお問合せ・相談フォームから、お気軽にお声がけください。

初回のご相談は無料です。

 

※参照記事)yahooニュース

https://news.yahoo.co.jp/articles/fbe5d0fff2a5343b9dd1769692bfa004cd5a6aa6

 

業務委託でも労働者性が認められる?派遣会社が押さえるべき最新判例   2025.09.26

#### 1. 判例の概要:河合塾講師の雇い止め訴訟とは 

2024年9月、最高裁判所が大手予備校「河合塾」と講師との間で争われた雇い止め訴訟に関して、同社の上告を受理せず、東京高裁判決を確定させました。 

この判決で注目すべきは、**「業務委託契約であっても労働者性が認められ、不当労働行為に当たる」と判断されたこと**です。 

 

河合塾側は「講師は業務委託契約であり、労働者ではない」と主張しましたが、裁判所は実態に基づき労働者性を認め、さらに労働組合活動を理由とした雇い止めは不当労働行為にあたると判断しました。 

 

この事例は、派遣会社や人材ビジネスに深い示唆を与えるものです。なぜなら「契約形態で安心してはいけない」という教訓を明確に示したからです。 

 

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#### 2. 労働者性を判断する基準とは 

日本の労働法制において「労働者性」の判断は契約書に記載された名称だけでなく、**実際の働き方の実態**に基づきます。 

 

例えば次のような要素が重視されます: 

- 指揮命令関係が存在するか 

- 労務の提供が個人の裁量でなく、会社の都合に依存しているか 

- 就労時間や場所が拘束されているか 

- 報酬が成果ではなく労務の提供に対して支払われているか 

 

今回の判例では、契約書に「業務委託」と記載されていても、実態が労働者に近いと判断されました。 

 

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#### 3. 不当労働行為とは何か 

労働組合法では、労働者が労働組合活動を行ったことを理由に不利益を受けることを「不当労働行為」と定めています。 

典型的な例としては: 

- 労組加入や活動を理由とする解雇・雇い止め 

- 労組活動への妨害 

- 労組との交渉拒否 

 

今回の事案では、講師が同僚に厚労省のリーフレットを配布したことが「組合活動」と位置付けられ、それを理由に雇い止めした行為が不当労働行為に当たると認定されました。 

 

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#### 4. 派遣会社にとっての実務的リスク 

派遣会社は多数の派遣スタッフと契約を結びますが、その中には**派遣契約・業務委託契約・紹介予定派遣など多様な形態**が存在します。 

今回の判決は以下のリスクを示しています: 

 

1. 契約書に「業務委託」と記載しても、実態が雇用に近ければ「労働者」と判断される 

2. 契約更新や終了のプロセスが不透明だと、不当解雇や不当労働行為と認定される可能性がある 

3. 派遣スタッフや委託スタッフが労組を結成し、団体交渉を求める事例が増加する恐れがある 

 

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#### 5. 「形式」と「実態」のギャップに注意 

企業側はしばしば「業務委託だから大丈夫」と思いがちですが、裁判所は常に「実態」を重視します。 

 

例えば: 

- 派遣先から直接的な指揮命令を受けている 

- 勤務時間やシフトを細かく指定される 

- 業務の裁量がなく、単純な労務提供が中心 

 

このようなケースでは、契約名称が「委託」であっても労働者性が認められやすくなります。 

 

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#### 6. 判例が示す今後の傾向 

今回の最高裁の判断は、今後の労務管理や契約スキームに大きな影響を与える可能性があります。 

特に: 

- フリーランスや委託契約者の「労働者性」が認められる範囲が広がる 

- 人材ビジネス業界における契約の見直しが求められる 

- 派遣会社は「契約更新・終了」のプロセスをより慎重に進めざるを得なくなる 

 

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#### 7. 派遣会社が取るべき具体的対策 

1. **契約スキームの点検** 

   契約書の文言だけでなく、実際の就労実態を確認し、労働者性が疑われる契約を放置しない。 

 

2. **更新・終了のルール化** 

   契約終了の際には、合理的な理由と公平な手続きが必要。口頭のやり取りだけではリスクが高い。 

 

3. **労組対応の準備** 

   派遣スタッフや委託スタッフが労組活動を行う可能性を前提に、組織として対応ルールを整備する。 

 

4. **教育と啓発** 

   営業担当や現場管理者が「契約形態=安全」と誤解しないように研修を行う。 

 

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#### 8. 派遣先企業との連携強化 

派遣会社だけでなく、派遣先企業も「実態」に影響を与えます。 

派遣先が直接指示を行ったり、就労環境を拘束したりすれば、労働者性の判断に直結します。 

 

したがって、派遣契約だけでなく、**派遣先との運用ルールを文書化し、徹底すること**が不可欠です。 

 

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#### 9. 信頼関係を守るために 

派遣スタッフや委託スタッフにとって、契約終了や更新の判断は生活に直結します。 

不透明な対応や一方的な判断は、信頼関係を大きく損ない、労働争議や訴訟につながりかねません。 

 

逆に、**誠実で透明性のある運用**を徹底すれば、スタッフとの信頼が強まり、長期的に安定したビジネスにつながります。 

 

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#### 10. まとめ:判例から学ぶ派遣会社の行動指針 

今回の河合塾判例は、派遣会社にとって「契約名称よりも実態が重視される」という厳しい現実を突きつけました。 

 

👉 ポイントは3つ: 

1. 契約書の文言だけでは労務リスクは避けられない 

2. 契約終了・更新には合理性と透明性が不可欠 

3. 労組活動を理由とする不利益取り扱いは即「不当労働行為」となる 

 

派遣会社に求められるのは、契約スキームの再点検と、現場運用の透明化です。 

それが結果的に、クライアント企業の信頼、働く人の安心、そして自社の安定経営につながります。 

 

今回の判例を、単なるニュースとして流すのではなく、**「自社のリスク管理を見直すきっかけ」**としてぜひ活用していただきたいと思います。 

 

お困りの際は、当ホームページのお問合せ・相談フォームから、お気軽にお声がけください。

初回のご相談は無料です。

 

※参照記事)

https://news.yahoo.co.jp/articles/854562e526c9f39e0900bfcf3a91a2119a240957

 

派遣会社が活用すべき確定拠出年金制度改正のポイントとは?   2025.09.24

### 1. はじめに:派遣会社にとって確定拠出年金制度の改正は「チャンス」

 

2024年に予定されている確定拠出年金法等の改正では、企業型DC(企業型確定拠出年金)やiDeCo(個人型確定拠出年金)に大きな見直しが入りました。 

「老後の資産形成」を後押しするための制度改正ですが、派遣会社にとっては単なる年金制度の話ではありません。 

 

なぜなら、この改正は **「人材の確保」「スタッフの定着」「企業のブランディング」** に直結するからです。 

人材不足が深刻化する中で、福利厚生の強化は他社との差別化ポイントになります。特に派遣業界は短期的な雇用関係が多いため、福利厚生が整っているかどうかは応募者に大きな影響を与えます。 

 

今回は、派遣会社が知っておくべき改正内容と、その実務的な活用方法を解説します。 

 

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### 2. 今回の確定拠出年金制度改正のポイント整理

 

まずは改正内容を簡単に押さえておきましょう。 

 

- **企業型DC(会社が導入する年金制度)** 

  拠出限度額が「月額5.5万円 → 6.2万円」へ引き上げ。 

 

- **iDeCo(会社員の個人型年金)** 

  拠出限度額が「月額2.0万円/2.3万円 → 6.2万円」へ大幅引き上げ。 

 

- **自営業者(第1号被保険者)** 

  拠出限度額が「月額6.8万円 → 7.5万円」へ引き上げ。 

 

- **iDeCo加入年齢** 

  60歳未満から最大70歳未満まで拡大。シニア層も加入可能に。 

 

- **マッチング拠出の要件緩和** 

  「従業員の掛金が会社の掛金を超えてはいけない」という制限が撤廃され、柔軟な掛金設定が可能に。 

 

これらの改正により、従業員一人ひとりのライフプランに合わせた資産形成が可能となり、企業もより柔軟な福利厚生設計ができるようになります。 

 

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### 3. 派遣会社が注目すべき理由

 

派遣スタッフは正社員に比べ、福利厚生が手薄と感じられがちです。 

その結果、短期的な就業にとどまり、長期的な定着にはつながりにくいのが現実です。 

 

しかし、確定拠出年金制度を活用すれば、派遣会社も「長期的に安心して働ける環境」を整備できます。 

具体的には―― 

 

- 「派遣会社でも老後資産を積み立てられる」という安心感を与える。 

- 福利厚生が手厚い=他社との差別化になる。 

- 年齢が高いスタッフにも魅力的な制度を用意できる。 

 

つまり、**採用力と定着率を同時に高める武器** となるのです。 

 

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### 4. 企業型DC導入で広がる可能性

 

企業型DCを導入することで、派遣スタッフに「会社が将来の生活をサポートしてくれている」という印象を与えられます。 

特に、近年は求職者が求人票で「福利厚生」を重視する傾向が強まっています。給与水準が同程度なら、福利厚生が整っている会社を選ぶのは自然な流れです。 

 

例えば―― 

- 「派遣会社でも企業型DCを利用できる」ことを求人票に記載すれば、応募者の目を引きやすい。 

- 導入企業としてPRすることで、採用面でのブランド力がアップする。 

- 派遣スタッフの「長期的な関わり」を促すことができる。 

 

一見、年金制度はスタッフ個人の話に見えますが、導入することで **会社の魅力を高める経営戦略** に変わります。 

 

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### 5. iDeCo加入年齢拡大が意味するもの

 

今回の改正で特に注目されるのが、iDeCoの加入可能年齢が70歳未満まで拡大されたことです。 

 

派遣業界では、定年後も働き続ける60代後半のスタッフが増えています。彼らにとって「まだ資産形成できる仕組みがある」というのは大きなメリットです。 

 

派遣会社としては、 

- シニア層を積極的に活用する戦略を取りやすくなる。 

- 長期的な勤務を希望する高齢スタッフに魅力的な環境を用意できる。 

- 「年齢に関係なく安心して働ける会社」という評価につながる。 

 

つまり、今回の改正は「若い人材」だけでなく「シニア人材確保」にもプラスに働きます。 

 

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### 6. マッチング拠出の制限撤廃と派遣会社の活用法

 

従来は、従業員の掛金が会社の掛金を超えることができませんでした。 

しかし、今回の改正でこの制限が撤廃されました。 

 

これにより―― 

- 会社は最低限の負担で制度を導入できる。 

- スタッフは自分の意志で積極的に掛金を拠出できる。 

- 双方にとって柔軟で負担の少ない制度設計が可能。 

 

派遣会社はコストを抑えつつ、スタッフには「福利厚生が整っている」というアピールができるため、非常に実務的なメリットがあります。 

 

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### 7. 定着率向上につながる仕組みづくり

 

福利厚生の充実は、そのままスタッフの定着率につながります。 

特に派遣業界は「数カ月で辞めてしまう」という課題を抱えやすい業種です。 

 

そこで企業型DCやiDeCoを活用すれば、 

- 「長期的に働くとメリットが大きい」と感じてもらえる。 

- 会社に愛着を持ちやすくなる。 

- 無形の安心感が離職防止に直結する。 

 

結果として、採用コスト削減や人材の安定供給にも貢献します。 

 

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### 8. 人材確保競争での差別化

 

人材不足が深刻化する中、派遣会社同士の競争は激化しています。 

その中で「福利厚生の手厚さ」は、応募者が会社を選ぶ大きな判断材料です。 

 

確定拠出年金制度を導入している派遣会社は、 

- 「スタッフを大切にしている会社」というイメージを獲得。 

- 求人広告や説明会でアピールできるポイントが増える。 

- 中長期的には「応募が集まりやすい会社」へと変わる。 

 

福利厚生は単なる「コスト」ではなく、**採用マーケティングの武器** になるのです。 

 

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### 9. 社会保険労務士からの実務アドバイス

 

実際に制度を導入する際には、いくつかの注意点があります。 

例えば、 

- 拠出限度額の設定は適切か? 

- 派遣スタッフの雇用形態に合った制度設計になっているか? 

- 税制上の取り扱いを正しく理解しているか? 

 

これらを誤ると、せっかくの制度が逆に負担になってしまうこともあります。 

導入の可否や制度設計については、必ず専門家に相談しながら進めることをおすすめします。 

 

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### 10. まとめ:制度改正を人材戦略に活かす時代へ

 

今回の確定拠出年金制度の改正は、「老後の安心」を提供するだけではなく、派遣会社にとって **人材戦略の追い風** となります。 

 

- 採用力アップ 

- 定着率の向上 

- シニア層の活用 

- 他社との差別化 

 

これらを同時に実現できる可能性を秘めています。 

 

「うちの会社にも導入できるのか?」 

まずはここからスタートすれば十分です。 

 

派遣業界は今、人材確保の大きな転換期を迎えています。 

制度改正を単なるニュースとして終わらせず、経営に活かす一歩を踏み出すことが、これからの成長につながるでしょう。 

 

お困りの際は、当ホームページのお問合せ・相談フォームから、お気軽にお声がけください。

初回のご相談は無料です。

 

※リンク)厚生労働省「令和7年度税制改正に関する参考資料」

https://www.mhlw.go.jp/content/10600000/001365075.pdf

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セミナー、研修、講演開催

料金について

セミナー、研修、講演 1時間10万円定額制

講演内容、業種、出席者数に関わらず、すべて定額の時間単価とさせて頂きます。業界きっての画期的な明朗会計です。 

「予め料金が分かっているので、安心して申し込めます」

 「料金交渉が不要で助かります」

 「時間単価は一定なので、研修時間数を調整すればいいから、予算との折り合いも簡単にできます」

 などなど、多くのお客様に喜ばれております。

セミナーについて

当事務所セミナー会場(27Fスカイラウンジ)で、当事務所が独自にテーマを設定し、お申し込み頂いた、複数の会社様にご参加頂くものです。

セミナー開催実績例
  • 介護事業者様向け「改正介護保険法セミナー」
  • 介護事業者様向け「介護労働環境向上奨励金セミナー」 3回
  • 新規採用をお考えの事業者様向け
    「元ハローワーク職員が教える!求人助成金セミナー」
  • 飲食店様向け「元ハローワーク職員が教える!求人助成金セミナー」

講演について

当事務所代表が会社様や、ご同業者の集まりに訪問し、ご依頼されたテーマ(一般的な課題)について原稿を作成し、講演するものです。

講演実績

日本経営開発協会様 御紹介
市川港開発協議会様 主催 研修

「マイナンバー通知開始!
今知りたいマイナンバー制度の傾向と対策」

【参加者様からのお声】

  • 非常に分かりやすく、90分飽きさせることのない素晴らしいものだった。
  • 非常に役に立ち、興味が持てる内容だった。
  • 普段は講義に集中するのは難儀なのだが、話のスピード、声のトーン、間、どれを取っても感心するばかりだった。
  • マイナンバーが今後いろいろな問題を引き起こす可能性があることがよくわかり、大変勉強になった。早期に確実な運用体制を社内に確立させなければと思った。

一般社団法人 港湾労働安定協会 様 主催
雇用管理者研修「職場のメンタルヘルスに関して(会社を守る職場のメンタルヘルス対策)」

【参加者様からのお声】

  • メンタルヘルス対策は今後も重要になってくると思うので、このような研修会を増やして貰いたい。
  • 社会保険労務士による内容を次回もお願いしたい。
  • メンタルヘルス関係で初めて面白い(役に立つ)情報が聞けたと思います。
  • 大変に良い研修ですので、これからも続けて貰えるとありがたいです。
  • 中間管理職として守るべきというか、部下に対してどのような人事労務管理をすればよいのか、中小企業向けに別途講習会をやってほしいと思った。
  • 株式会社LEC 様 主催
    「介護雇用管理研修」業務委託登録講師
  • 株式会社フィールドプランニング 様 主催
    「派遣元・派遣先責任者講習」業務委託主任講師
  • 神奈川韓国商工会議所様 主催
    経営者セミナー「お役立ち助成金講座
    (雇用の確保と5年ルールへの対応策)」
  • 日本経営開発協会様 御紹介
    株式会社根布工業様 主催
    安全大会「入ってないと、どうなっちゃうの?社会保険のこわ~いお話」
泉文美 講師紹介ページ

講演会の講師紹介・講師派遣なら講演依頼.com

研修について

当事務所代表が、会社様のご依頼に基づき、会社様の具体的な人事労務に関わる内容(個別事案)について、オーダーメイドのプログラムを作成し、社員の皆様に研修するものです。

研修のご依頼例

  • 就業規則を変更したので、わかりやすい説明会を開いてほしい
  • 給与規定を見直したので、従業員に説明をしてほしい
  • 従業員向けの、接客マナー、敬語などのレッスン会をしてほしい

執筆のご依頼

雑誌・メルマガ、HPコラムなど、ご希望に沿ったテーマで記事を執筆いたします。

掲載履歴

HP記事執筆

ハッケン!リクナビ派遣に「働き改革!派遣社員が選べるふたつの雇用とは」と題する記事を執筆しました。

「働き方改革!派遣社員が選べるふたつの雇用とは」

「近代中小企業」2月号

「近代中小企業」2月号

「近代中小企業」2月号に記事を執筆しました。

「元ハローワーク職員が教える!ハローワーク求人&助成金活用法」

「SR」 9月号

SR 9月号

ハローワークを始め、社会保険事務所(現:年金事務所)、労働基準監督署でも勤務経験を持ち、「お役所の裏事情に詳しい社労士」として定評のある我がみなとみらい人事コンサルティング代表。

ハローワークでの勤務経験を買われ、日本法令様出版の「SR 9月号」に記事を執筆しました。

(第27号 2012年8月6日発売)

元職員が指南する!ハローワークの効果的な利用の仕方

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