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NEW 【派遣契約書】に必ず入れるべき法定項目とは?社労士が実務ポイントを解説   2025.12.12

労働者派遣契約書は、「派遣元と派遣先が取り交わす単なる契約書」という位置づけではありません。 

労働者派遣法に基づき、派遣労働者の働く環境と安全を守るために定められた「法定書面」です。 

そのため記載すべき項目が細かく定められており、1つでも欠けると行政指導の対象になるケースも珍しくありません。

 

派遣会社として日々現場対応に追われる皆さまからも、 

「契約書のここは法的にどこまで書けばいいのか?」 

「うちの契約書、ここが抜けている気がする…」 

といった相談を数多くいただきます。

 

本記事では、社会保険労務士の立場から「法定項目」と「実務で押さえるべきポイント」を踏まえ、派遣契約書の基本を“現場目線で”わかりやすく解説します。

 

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■1. 派遣契約書の基本と法的な位置づけ 

(派遣契約書 法的位置づけ)

 

まず大前提として、労働者派遣契約書は派遣元・派遣先の取り決めを明らかにするだけでなく、**派遣労働者を保護する目的**を持っています。

 

そのため、契約書に記載しなければならない項目は、民間取引の契約よりもはるかに細かく、法的に義務化されています。 

具体的には、労働者派遣法第26条で「必ず書かなくてはならない項目」が明確に列挙されています。

 

派遣会社の中には、取引先の要望に合わせて「ひな形を簡略化したい」と感じるケースもあると思います。 

ですが、簡略化しすぎると法令違反につながり、監督署や労働局からの行政指導、是正勧告のリスクが高まります。

 

**派遣契約書は「取引契約書」ではなく、「労働者の保護法令に基づく書面」** 

この認識が、まずは非常に重要です。

 

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■2. 労働者派遣法26条が求める記載義務とは 

(労働者派遣法26条 必須項目)

 

労働者派遣法26条では、派遣契約書に記載すべき事項を明確に定めています。 

主な項目をまとめると次のとおりです。

 

- 派遣労働者が従事する業務内容 

- 派遣労働者の人数 

- 派遣期間(開始日・終了日) 

- 派遣料金 

- 指揮命令者の氏名または役職 

- 安全衛生に関する事項 

- 苦情処理の体制 

- 派遣元・派遣先の責任分担

 

これらは「必ず書かなければならない」項目です。 

一部が欠けていても契約として無効になるわけではありませんが、**法令違反として行政指導の対象になり不利益が発生します。**

 

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■3. 業務内容を明確に書く重要性 

(派遣 業務内容 明確化)

 

現場で最もトラブルになるのが、業務内容の曖昧さです。

 

「事務業務」 

「軽作業」 

「営業サポート」 

 

このような書き方では、実際にどこまでの業務が許容されるのか判断がつかず、派遣先が業務範囲を逸脱した指示を出してしまうケースが多発します。

 

たとえば「事務作業」と記載していたが、実際には外勤サポートや受付対応まで行わせていた──という状況は、行政調査が入ると必ず指摘されます。

 

業務内容の記載は、最低でも以下のように分解するのがおすすめです。

 

- データ入力 

- 書類作成補助 

- 電話応対 

- ファイリング 

- 来客対応(必要な場合のみ)

 

派遣社員が安心して働けるだけでなく、派遣先担当者も「どこまで指示して良いか」が明確になります。

 

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■4. 派遣労働者の人数と派遣期間のルール 

(派遣期間 設定 方法)

 

派遣契約書には「何名を」「いつからいつまで」派遣するかを必ず記載します。

 

ここで重要なのが、 

**派遣期間は“更新前提の未記載”が許されない** 

という点です。

 

「あとは実態見て調整しましょう」 

「とりあえず1カ月で出しておいて、あとで延ばします」 

 

こうした運用は非常に多いですが、法令上は適切ではありません。

 

また、いわゆる“3年ルール”についても、契約期間の記載と実態を一致させる必要があります。 

更新を繰り返す場合は、派遣先責任者との事前協議や書面管理が極めて重要です。

 

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■5. 派遣料金の記載方法と根拠資料 

(派遣料金 設定 根拠)

 

派遣料金は、契約の根幹です。 

時間単価であれば「1時間あたり○円」と必ず明記し、総額や交通費の扱いなども明確にしておきます。

 

また、行政調査の際には「料金設定の根拠」を確認されるケースが増えています。

 

- 派遣スタッフの賃金 

- 社会保険料 

- 会社負担の経費 

- マージン率 

 

これらが妥当性のあるものか、資料で説明できるように準備しておくと、調査で慌てなくて済みます。

 

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■6. 指揮命令者を特定する意味 

(指揮命令者 派遣契約)

 

指揮命令者とは、派遣労働者に直接指示する派遣先の担当者です。 

契約書で氏名または役職を明記するのは、責任の所在を明確にするためです。

 

実務でありがちなのが、現場の都合で指示担当者が頻繁に変わるケース。 

変更があった場合は速やかに契約書へ反映しなければなりません。

 

曖昧にしたまま運用すると、 

「誰が指示していいのか不明」 

「複数の担当者がばらばらに注文してくる」 

などの問題が起き、派遣労働者が混乱します。

 

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■7. 苦情処理体制の明文化 

(派遣 苦情処理 フロー)

 

派遣労働者からの苦情は、派遣元・派遣先双方が対応する責任を持っています。 

契約書には以下を明記するのが望ましいです。

 

- 苦情窓口の担当者 

- 連絡方法 

- 解決までの基本フロー 

- 双方の役割分担

 

この体制が機能していないと、派遣労働者が直接労働局に相談するケースも少なくありません。 

「苦情対応ができていない」という指摘は行政指導でも頻繁に見られます。

 

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■8. 安全衛生情報の共有と記載 

(派遣 安全衛生 情報共有)

 

特に製造業・物流・研究施設など、危険や化学物質を扱う現場では、安全衛生に関する記載が極めて重要です。

 

- 作業の危険性 

- 特別教育が必要か 

- 保護具の支給 

- 作業環境測定の状況 

- 化学物質の情報(SDS 等)

 

派遣先がこれらの情報を適切に提供しないと、重大事故につながる恐れがあります。 

契約書だけでなく、着任前の情報共有や教育もセットで整える必要があります。

 

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■9. よくある誤解とNG運用 

(派遣契約書 よくある間違い)

 

現場で実際に多い誤解を挙げると次のとおりです。

 

1. **「業務内容はざっくり書けばいい」→NG** 

曖昧にすればするほど、指揮命令違反の可能性が高まります。

 

2. **「派遣期間は後で調整すればいい」→NG** 

更新前提の未記載は法令違反です。

 

3. **「料金はあとで改定すればいい」→NG** 

後付け変更はトラブルの元。契約時点で確定が必要。

 

4. **「指揮命令者は現場で適当に」→NG** 

責任の所在が不明確になり、運用が混乱します。

 

派遣契約書で誤りがあると、すべてが現場のトラブルに直結します。

 

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■10. 契約と運用を一致させるための社内体制 

(派遣契約 運用 管理)

 

最も重要なのは、契約書を作った後の「運用」です。

 

- 業務内容が変わっていないか 

- 担当者の変更は正しく反映されているか 

- 安全衛生情報は最新か 

- 更新手続きが漏れていないか 

- 派遣料金の根拠が説明できる状態か

 

特に契約更新が多い現場では、更新漏れが最もよく発生します。 

無契約のまま派遣を継続してしまうと、行政指導では重い指摘を受ける可能性があります。

 

社内で「契約管理のフロー」を決めて運用し、担当者間で連携できる体制づくりが不可欠です。

 

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■まとめ

 

労働者派遣契約書は、派遣労働者の働く環境を守るための法定書面です。 

業務内容・派遣期間・料金・指揮命令者・安全衛生・苦情処理など、必須項目を正確に記載し、かつ運用まできちんと整えることで、派遣元・派遣先双方が安心して事業を進めることができます。

 

派遣契約書はただの形式ではなく、“現場と法令の両方をつなぐ仕組み”。 

その意味を理解して整えることで、派遣会社としての信頼性も高まり、トラブルのない安定した運営につながります。

 

派遣契約の運用に不安がある場合は、専門家に早めに相談することで、リスクを最小限に抑えることができます。 

派遣スタッフの安心と、企業の円滑な運営のために、ぜひ参考にしていただければ幸いです。

 

初回のご相談は無料ですので、お気軽にホームページお問合せよりご連絡ください。

NEW 日本全国で急増する「労働時間乖離」問題とは?派遣会社が避けたい監督署対応の落とし穴   2025.12.11

1. はじめに:なぜ今「労働時間乖離」が全国で問題化しているのか

 

近年、日本全国の派遣会社・受入企業で急増しているのが、派遣スタッフの「労働時間乖離」問題です。

 

派遣元が管理している労働時間と、派遣先が把握している労働時間が一致しない——。

 

この“ズレ”が発生すると、監督署から是正指導を受けたり、残業代の追加支払いが必要になったり、派遣契約そのものに影響することもあります。とくに働き方改革関連法の施行以降、勤怠管理の精度は全国的に高いレベルで求められるようになり、派遣会社にとっては避けて通れない課題になっています。

 

日本各地の派遣現場から寄せられる相談の多くが「気づいたら乖離していた」「監督署の調査で発覚した」というものであり、その背景には派遣業界特有の“二重管理”という構造的な問題があります。

 

この記事では、全国で実際に発生している労働時間乖離の失敗例をもとに、派遣会社が押さえておくべき注意点、監督署対応のポイント、そして社会保険労務士として現場で感じる改善策を詳しく解説します。

 

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2. 派遣会社が直面する“二重管理”という構造的課題

 

労働時間乖離が発生しやすい最大の要因は、「派遣元と派遣先の二重管理体制」です。

 

派遣スタッフの労働時間を実際に管理しているのは派遣先ですが、労働契約を結び賃金を支払うのは派遣元。 

そのため、次のような状況が日常的に起こります。

 

- 派遣先:自社のタイムカードや勤怠システムで労働時間を管理 

- 派遣元:スタッフの申告や勤務表で労働時間を管理 

 

この二つが一致しなければ、必然的に乖離が発生します。 

また、派遣先ごとに勤怠ルールがまったく異なることも、問題を複雑化させる要因です。

 

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3. 全国で実際に起きている労働時間乖離の主な失敗例

 

ここでは、社会保険労務士として私が全国の派遣企業から相談を受ける中で多く見られる、典型的な失敗例を紹介します。

 

 ●ケース1:タイムカードと申告時間が毎日30分ずれていた

製造業の現場で起きた例です。 

派遣スタッフが「出勤・退勤の打刻を忘れがち」「自分の申告で大丈夫だと思っていた」という理由で、派遣元の集計と派遣先のデータに10〜30分のズレが日常化していました。

 

監督署の調査では、 

**「派遣元が労働者の労働時間を適切に把握していない」** 

と判断され、是正指導が下されました。

 

派遣先も調査対象となり、結果として双方に大きな負担が発生しました。

 

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 ●ケース2:休憩時間の認識違いによる労働時間のズレ

休憩時間は派遣先の就業規則に従うべきですが、派遣元が「前の職場と同じだろう」と思い込みで計算していたケースです。

 

- 派遣先:休憩45分

- 派遣元:休憩60分

 

この15分の差が積み重なると、残業代の計算に大きく影響します。 

最終的には派遣元・派遣先双方で調整し、追加支払いが必要となりました。

 

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 ●ケース3:紙の勤怠表とシステム記録が一致しない

IT業界で多い事例です。 

派遣先は自社の勤怠システムを使用し、派遣元は紙の勤務表を利用していたため、記録の整合性が取れなくなりました。

 

監督署は、 

**「二重管理による記録不一致は重大」** 

と判断し、双方に改善を求めました。

 

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4. 社労士が見る“乖離を生む本質的な原因”とは?

 

これらの失敗例には、共通した構造的な原因があります。

 

 ●原因1:勤怠ルールが共有されていない 

休憩時間・丸めルール・残業申請など、派遣先ごとにルールが違うにもかかわらず、派遣元が十分に把握できていないケースが多発しています。

 

 ●原因2:文書化されていない 

口頭で伝えるだけでは、担当者が変われば情報が途切れます。 

文書化されていないルールは必ず抜け漏れが生じます。

 

 ●原因3:スタッフ教育が不十分 

打刻漏れや申告ミスは、現場スタッフへの教育不足が原因です。

 

 ●原因4:システムがバラバラ 

派遣元と派遣先のシステムが異なれば、差分のチェックは面倒になり、乖離が放置されがちです。

 

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5. 労働時間乖離が発生したときの企業リスク

 

労働時間乖離を放置すると、次のような重大なリスクが発生します。

 

- 是正指導・改善勧告 

- 過去にさかのぼって残業代を追加支払い 

- 労働者からのクレーム 

- 派遣契約の信頼低下 

- 監督署調査の長期化 

- 企業のコンプライアンス評価の低下

 

特に、「労働時間を適切に把握していない」という指摘は、派遣会社の信頼に直結する大きなダメージになります。

 

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6. 全国の派遣会社が実践すべき労働時間乖離の防止策

 

労働時間乖離は、次の4つを徹底するだけで大きく改善します。

 

 ●① 勤怠ルールの文書化と共有

- 休憩時間 

- 残業申請ルール 

- 早出・遅刻・中抜けの扱い 

- 勤怠システムの打刻方法

 

派遣先から情報を集め、派遣元で文書化したうえでスタッフと共有することが最も効果的です。

 

 ●② 毎月の記録突合チェック

月1回の突合を行うだけで、大きなズレになる前に修正できます。

 

 ●③ スタッフへの勤怠教育

「打刻がすべてのスタート」という意識づけが不可欠です。

 

 ●④ 勤怠管理のIT化

紙の勤怠表は不整合の温床。 

可能な限りシステムへの統一を検討すべきです。

 

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7. 労働時間乖離の改善がもたらすメリットとは?

 

「乖離は問題でしかない」と思われがちですが、是正に取り組むことで次のメリットが生まれます。

 

 ●メリット1:コンプライアンス強化

- 36協定の遵守 

- 適正な労務管理 

- 労働トラブルの防止 

 

会社全体のガバナンスが向上します。

 

 ●メリット2:スタッフとの信頼関係が向上

勤怠が透明化されることで、紛争リスクが減り、定着率向上にもつながります。

 

●メリット3:監督署対応の負担が軽減

整った勤怠管理は、調査を短期間で終わらせる助けになります。

 

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8. 社労士が考える「派遣会社が今すぐ取り組むべきこと」

 

派遣業界は労働時間の二重管理という構造上、どうしても問題が発生しやすくなります。 

そのため、社労士としては次の3点を優先度高くお勧めします。

 

1. **勤怠ルールの書面化と派遣先との協議** 

2. **定期的な乖離チェック体制の構築** 

3. **現場スタッフに対する勤怠教育** 

 

これらを実施するだけで、監督署対応が大幅に楽になり、派遣会社としての信頼性も高まります。

 

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9. 全国対応の社労士だからこそ感じる現場の課題

 

地域によって慣行やルールが微妙に違うため、「全国一律のルールで統一できない」という悩みを抱える派遣会社も多いものです。

 

しかし社会保険労務士は、

 

- 労働基準法 

- 労働者派遣法 

- 36協定 

- 勤怠管理の実務 

 

に精通しており、地域差がある場合でも柔軟に対応が可能です。

 

全国対応で支援している立場から言えるのは、 

**「どの地域でも、早い段階でのルール整備が最も効果的」** 

ということです。

 

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10. まとめ:労働時間乖離は“早期対応”が最善策

 

派遣スタッフの「労働時間乖離」は、全国で増え続けている実務上の大きな課題です。

 

しかし、

 

- ルール統一 

- 文書化 

- 定期的なチェック 

- スタッフ教育 

 

を進めるだけで、多くの問題は確実に防ぐことができます。

 

もし、

 

「労働時間が派遣先と合わない」 

「監督署から指摘を受けた」 

「勤怠ルールが整備できていない」 

 

といったお悩みがあれば、早い段階で専門家に相談することで、負担なく改善を進められます。

 

労働時間管理は、派遣会社の安全と信頼を守る“基盤”です。 

全国規模で課題が増える今こそ、しっかりと整備を進めていきましょう。

 

初回のご相談は無料ですので、ホームページのお問い合わせよりお気軽にご連絡ください。

NEW 社労士が解説:派遣労働者の待遇決定で押さえるべき均等・均衡待遇の核心   2025.12.10

1.均等・均衡待遇とは何か|派遣会社が理解すべき基本ルール 

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「均等・均衡待遇」という言葉は、働き方改革以降、人事や派遣業界の方にとって必須のキーワードになりました。特に派遣会社にとっては、行政指導やトラブルを防ぐために“正しく理解しておきたい制度”の代表格です。

 

まず「均等待遇」とは、性別や雇用形態を理由とした不合理な差別的取り扱いを禁止するものです。 

同じ仕事、同じ責任が求められるなら、待遇も同じ原則であるべき―これが均等待遇の根本です。

 

一方、「均衡待遇」とは、待遇の違いに“合理的な根拠”が必要であるという考え方です。 

例えば、 

・仕事内容の違い 

・求められる能力の違い 

・配置転換の範囲の違い 

など、客観的に説明できれば待遇差は認められます。

 

社労士として多くの企業を支援してきた経験から言うと、均等・均衡待遇は“正社員とまったく同じ待遇にしなければいけないルール”ではありません。 

むしろ大切なのは、違いがある場合、その理由をきちんと説明できるかどうかです。 

 

派遣会社の場合、派遣先との情報連携が不十分なまま制度だけ整えた結果、説明ができずトラブルになるケースが後を絶ちません。 

まずは「何が必要な情報か」を整理することが出発点です。

 

2.派遣労働者に適用される「派遣先均等・均衡待遇」のポイント 

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派遣労働者には、特有のルールである「派遣先均等・均衡待遇」が適用されます。 

 

派遣は雇用主(派遣元)と働く場所(派遣先)が異なる構造を持ちます。 

・雇用契約は派遣元 

・実際の仕事内容や指揮命令は派遣先 

という仕組みのため、待遇決定には双方の情報が必要になります。

 

派遣元には賃金・福利厚生などの待遇決定責任がありますが、派遣先の仕事内容や求められる能力を知らなければ判断できません。 

そのため法律では、派遣先に「必要な情報の提供義務」が課されています。

 

実務で起きやすい問題は、 

「派遣先が情報を提供してくれない」 

「派遣元がどの情報を求めればよいかわからない」 

という双方の理解不足です。

 

この認識のズレは待遇判断の誤りや説明不足を生み、行政指導やクレームの原因になります。 

制度を正しく運用するには、派遣元・派遣先の連携が欠かせません。

 

3.派遣元(派遣会社)が負う役割とリスクとは? 

──────────────────────── 

派遣元がもっとも注意すべきポイントは、 

「待遇決定の最終責任者は派遣元である」 

という点です。

 

そのため、以下のような制度整備が必須となります。 

・賃金制度の明確化 

・手当の支給基準の合理性確保 

・表記ルールを揃えた評価基準 

・協定書、契約書の整備 

・待遇差の説明資料の作成

 

これらが整っていないと、 

「なぜこの待遇なのか説明できない」 

「派遣先と情報が合っていない」 

といった問題が起こりやすくなります。

 

私の実務経験でも、制度が不十分なまま派遣労働者から質問を受け、担当者が答えられずトラブルに発展してしまうケースは少なくありません。 

制度は“作るだけ”ではなく、実際に説明できるレベルまで整理しておくことが重要です。

 

4.派遣先企業が担う情報提供義務|最もトラブルが起きやすい部分 

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派遣先は派遣労働者の業務内容に最も詳しい立場です。 

そのため法律では、以下の情報を派遣元へ提供する義務があります。

 

・仕事内容の詳細 

・求められる能力 

・責任の範囲 

・配置転換の有無 

・福利厚生の内容 

・当該業務を行う正社員の待遇情報

 

これらがなければ、派遣元は賃金や手当の“妥当性”を判断できません。

 

改善が必要な職場では、仕事内容が曖昧で、担当者によって説明がバラバラというケースがよくあります。 

そのため、ジョブディスクリプション(職務記述書)の整備は非常に有効です。

 

社労士として支援していても、 

「業務内容が整理されていないために待遇判断ができない」 

という相談は非常に多く、まずはこの整備から着手することがほとんどです。

 

5.労使協定方式での賃金決定|派遣会社が押さえるべきポイント 

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派遣元は、待遇決定方式として「労使協定方式」を採用することができます。この方式では、厚生労働省公表の“一般賃金水準”を基準に賃金を設定します。

<一般賃金水準>

・職業安定業務統計

・賃金構造基本統計調査

 

労使協定方式を適切に運用するには、次の内容を明確にしておく必要があります。 

・協定を締結する範囲(対象者) 

・賃金表の作成 

・等級(スキルレベル)の設定 

・評価基準の明確化 

・派遣先業務との整合性の確認

 

特に重要なのは、派遣先の仕事内容と協定の職種が正しく紐づいているかです。 

ここがずれると、 

「実際の仕事より低い等級に設定されてしまっていた」 

という問題につながります。

 

社労士として企業を支援する際には、派遣先の業務内容を丁寧にヒアリングし、協定上の職種・レベルと矛盾がないかをチェックする作業が欠かせません。

 

6.待遇差を説明できる組織が強い|説明義務と資料整備の実務 

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待遇差について質問を受けた場合、企業はその理由を説明しなければなりません。 

これは「説明義務」と呼ばれ、明確な対応が求められます。

 

説明に必要な資料には、 

・職務分析シート 

・評価基準 

・賃金表 

・労使協定書 

・派遣先からの情報 

などが含まれます。

 

実務では、これらがバラバラに保管され、担当者も内容を理解していないというケースが少なくありません。 

説明が曖昧になると、 

「正社員より扱いが悪いのでは?」 

「なぜ自分はこの給与なのか?」 

といった誤解を生みます。

 

実際、説明資料を整理しただけでクレームがなくなったケースは多く、整備の効果は非常に大きいといえます。

 

7.よくある誤解と実務の落とし穴 

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派遣先均等・均衡待遇には、派遣会社が誤解しやすいポイントがいくつかあります。

 

●誤解1:正社員と「完全に同じ待遇」にしないといけない 

→違いが合理的に説明できるなら問題ありません。

 

●誤解2:派遣先にすべて任せればよい 

→待遇決定の責任は派遣元。情報提供は必要だが判断は派遣元が行う必要があります。

 

●誤解3:制度を形だけ作ればOK 

→制度は“運用”が重要。業務内容変更時の見直しも欠かせません。

 

●誤解4:待遇差は説明しなければいけないが、資料はなくても大丈夫 

→資料がなければ説明に一貫性がなくなり、紛争の火種になります。

 

特に「説明ができない」という状態は大きなリスクです。 

派遣元と派遣先が適切に役割分担し、資料や情報を整理しておくことが不可欠です。

 

8.派遣先と派遣元の連携不足が生む典型トラブルと予防策 

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派遣の現場では、以下のようなトラブルが頻繁に発生します。

 

・仕事内容の変更を派遣元が知らされない 

・評価制度や手当の取り扱いを派遣先が誤解している 

・派遣先の正社員待遇情報が提出されない 

・業務が“実質的に正社員並み”なのに待遇が追いついていない 

 

これらは、すべて「情報の断絶」が原因です。

 

予防策としては、 

・定期的な現場ヒアリング 

・業務内容変更時の通知ルールの徹底 

・派遣先説明書の更新 

・三者(派遣元・派遣先・社労士)の連携ミーティング 

などが有効です。

社労士として支援していると、こうした“情報の見える化”によりトラブルが激減し、担当者の負担も大きく軽くなるケースが本当に多いです。

 

9.均等・均衡待遇がもたらす派遣会社のメリット 

──────────────────────── 

均等・均衡待遇を正しく運用できると、派遣会社には大きなメリットがあります。

 

・派遣労働者の納得感が高まり離職率が下がる 

・応募者の質が向上し採用が安定する 

・派遣先からの信頼が高まりリピートが増える 

・行政指導リスクが低減し安定経営につながる

 

待遇制度が整っている派遣会社は、現場の評価も高く、安定した事業運営がしやすいという傾向があります。

 

10.まとめ|派遣会社が今すぐ取り組むべき実務対応 

──────────────────────── 

均等・均衡待遇は、派遣労働者の処遇を適正化し、企業のコンプライアンスを強化するために欠かせない仕組みです。 

「制度を知っている」だけでは不十分で、 

・情報の整理 

・説明できる仕組み 

・派遣先との連携 

を整備して初めて、安定した運用が可能になります。

 

もし、 

「制度はあるが、実際に説明できる状態になっていない」 

「派遣先との情報連携が不十分で不安がある」 

と感じる点があれば、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

 

社労士として、多くの派遣会社を支援してきた経験から言えることは、 

“均等・均衡待遇の整備は、リスク回避だけでなく経営の安定につながる投資” 

だということです。

 

ぜひ自社の制度を見直すきっかけにしてみてください。

初回のご相談は無料です。お気軽にご連絡いただければ幸いです。

 

【参考リンク】

厚生労働省「派遣労働者の同一労働同一賃金について」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077386_00001.html

日本全国の派遣会社が注意すべき「派遣元管理台帳」の記載漏れ対策   2025.12.09

1.テーマの背景

 日本全国の派遣会社に共通する悩みのひとつが、「派遣元管理台帳の記載漏れ問題」です。

 

派遣元管理台帳は、労働者派遣法に基づき作成が求められる必須書類であり、記載漏れや不備があると行政指導や改善命令の対象になる可能性があります。特に近年は、派遣業界全体でコンプライアンスの強化が進んでおり、台帳の不備に対するチェックがますます厳格化しています。

 

私(社会保険労務士)が全国の派遣会社から受ける相談でも、

 

「書類が多く、何を記載すべきか整理しきれていない」

 

「担当者によって記入方法がバラバラで、統一できていない」

 

「電子化したいが、運用方法に不安がある」

 

「行政調査で指摘されないためのチェックポイントを知りたい」

 

といった声が非常に多く寄せられます。

 

この記事では、社会保険労務士として全国の派遣会社支援に携わってきた視点から、派遣元管理台帳の記載漏れがなぜ起こるのか、どこに注意すべきか、どうすれば再発を防げるかという点をわかりやすく解説します。

 

2.日本全国での派遣元管理台帳の重要ポイント

 派遣元管理台帳は、派遣会社が派遣社員の情報を正確に把握し、適切な派遣事業運営を行うための基礎となるものです。しかし、台帳作成は複数の情報を漏れなく集める必要があり、派遣会社にとって最も手間がかかる書類業務のひとつといえます。

 

3.日本全国での具体的なケーススタディ(社会保険労務士の視点から)

 以下、日本全国で実際にあった派遣会社の事例を紹介します。

 

■ケース1:担当者ごとに記入方法が異なり、台帳が統一されていなかった

 

ある全国展開の派遣会社では、拠点ごとに台帳の様式がバラバラでした。項目の表現が違ったり、必要事項が抜けていたりするため、行政調査で「必要項目が欠落している」と指摘を受けました。

 

解決策:

社会保険労務士として、全拠点で統一した書式を導入し、記載マニュアルを作成。さらに、入力必須事項にチェック欄を設けることで記載漏れがゼロに。

 

■ケース2:Excel管理のまま運用しており、更新漏れや上書きミスが頻発

 

派遣元管理台帳は、派遣期間の延長・派遣先変更・契約内容の変更などが生じるたびに書き換える必要があります。しかしExcel管理だと、担当者が変更箇所を把握しきれず、古い情報のままになることがあります。

 

解決策:

クラウド型労務管理システムを導入し、更新履歴が自動記録されるように変更。台帳の最新版が常に確認できる仕組みを構築。

 

■ケース3:必要だと思っていなかった項目が実は必須で、行政指導を受けた

 派遣元管理台帳には法律で定められた必須項目があります。例えば、

 

労働者の氏名

 

派遣先の名称

 

派遣期間

 

派遣料金や賃金の体系

 

などは必ず記載しなければなりません。

 

しかし、法改正ごとに項目が増減するため、最新版に対応していない台帳で運用を続けているケースも見られます。

 

解決策:

最新の法令に対応したテンプレートの導入と、年1回の運用チェックを実施。

 

4.日本全国での派遣元管理台帳の注意点

 派遣元管理台帳には多くの項目があるため、どの派遣会社でも何かしらの記載漏れが起こりやすいのが現状です。ここでは、特に注意すべきポイントを解説します。

 

5.社会保険労務士によるよくある質問と対策(記載漏れ防止のポイント)

 ここでは、全国の派遣会社から寄せられた代表的な質問と、実際の解説を紹介します。

 

■Q1. 必要項目が多すぎて漏れが起こりやすい。どうすれば?

 A:チェックリスト方式が最も効果的です。

台帳作成時に「記入済み項目にチェック入れる」方式を採用するだけで、記載漏れは大幅に減ります。

 

■Q2. 従業員の登録時に情報が揃わない場合は?

 A:仮情報でも登録し、後から必ず更新するルールづくりが重要です。

記入漏れは「情報収集時点」で発生することが多いため、最初から完全に集めるより、段階的に確定させる方法の方が現実的です。

 

■Q3. 派遣期間延長や契約変更の際に更新漏れが起きてしまう

 A:契約書の回収と台帳更新をセットにする運用に統一してください。

「契約書が戻ってきたら台帳を更新する」ルールにするだけで、漏れがほぼゼロになります。

 

■Q4. 電子化したいが法的に問題は?

 A:電子化は可能で、むしろ行政も推奨しています。

ただし、

 

更新履歴が残ること

 

原本性が担保できること

などの条件を満たす必要があるため、システムの選定が最重要です。

 

6.日本全国全域での派遣元管理台帳記載漏れ対策のメリット

 記載漏れ対策を徹底することで、派遣会社には大きなメリットがあります。

 

<ポイント>

 

1)行政調査で指摘されなくなる

 

2)派遣社員の情報管理が正確になり、トラブルが減る

 

3)派遣期間・契約内容の誤認がなくなり、現場の混乱が減少

 

4)顧客企業からの信用度が上がり、取引継続につながる

 

5)拠点展開や事業成長に対応できる組織体制が整う

 

台帳管理は書類業務の一部に見えますが、派遣事業の信頼性を支える根幹の仕組みです。

 

7.まとめと結論

 派遣元管理台帳の記載漏れは、どの派遣会社にも発生しやすい問題です。しかし、適切な仕組みを整えれば、記載漏れは確実に防止できます。

 

ポイントは、

 

統一された書式を使うこと

 

チェックリスト方式を採用すること

 

契約書との更新運用をセットにすること

 

クラウドシステムの導入で更新履歴を残すこと

 

定期的に社会保険労務士の専門チェックを受けること

 

こうした運用を構築することで、派遣会社はより透明性が高く、信頼される事業体制を整えることができます。

 

8.社会保険労務士に相談する理由とお問い合わせ情報

 派遣元管理台帳は、法令遵守が強く求められる分野であり、独自判断で運用するとリスクを高めてしまうことがあります。

 

社会保険労務士に相談することで、

 

最新法令に沿った台帳テンプレートの導入

 

記載漏れ防止の運用整備

 

行政調査対策

 

労務管理システムの選定アドバイス

 

拠点展開に対応できる全国統一運用の構築

 

といったサポートを受けられます。

 

日本全国対応の社会保険労務士であれば、地域差や業界特性を踏まえた実践的な助言が可能です。

 

【参考リンク】

厚生労働省「労働者派遣事業に係る契約書・通知書・台帳関係様式例」

参考例11     派遣元管理台帳【excel形式】

https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/riyousha_mokuteki_menu/mokuteki_naiyou/haken_part/youshikirei.html

日本全国で拡大する人材不足時代に強い派遣会社の労務管理とは   2025.12.08

1.テーマの背景

日本全国で人材不足が深刻化しています。少子高齢化の進行、都市部と地方の人材流動の偏り、コロナ禍を契機とした働き方の多様化など、あらゆる要因が複合的に影響し、企業の人材確保がますます困難になっています。特に、派遣会社を利用する企業にとっては「必要な人材を迅速に確保できるか」、そして派遣会社側にとっては「安定して人材を供給できるか」が大きな課題となっています。

 

しかし、人材不足の時代だからこそ、労務管理がしっかりしている派遣会社は強く、選ばれる存在となります。労務管理が整っている企業は就業者からの信頼が厚く、離職率が下がり、結果として顧客企業にも質の高い人材を提供できるためです。

 

この記事では、社会保険労務士の視点から、日本全国で拡大する人材不足時代に「強い派遣会社」がどのような労務管理を実践しているのかを解説します。

 

2.日本全国での人材不足時代に強い派遣会社の労務管理の重要ポイント

 人材不足が深刻化する中でも、優れた派遣会社は安定した稼働と信頼を維持しています。それは、労務管理の品質が高いからです。ここでは、その重要ポイントを整理して解説します。

 

3.日本全国での具体的なケーススタディ

社会保険労務士として全国の派遣会社を支援してきた経験から、特に成果につながっている労務管理のポイントを紹介します。

 

1)労働時間管理の徹底

派遣社員は複数の派遣先を経験してきた方が多く、派遣会社の労務管理の精度を敏感に評価します。例えば、残業時間の申請方法が明確でない、勤怠システムが使いづらいといったストレスは、離職や就業拒否につながります。一方、勤怠システムの統一や就業前教育を行い、スムーズに働ける環境を整えている派遣会社は、応募者からの評価が非常に高いのが実情です。

 

2)派遣社員とのコミュニケーション制度

日本全国で成果を上げている派遣会社は、定期面談・フォロー体制が整っています。就業先での悩みを早期に把握し、離職を防ぐことは、長期稼働に直結します。

 

3)法改正対応の迅速さ

派遣法、社会保険、労働基準法など、派遣業界は法改正の影響を大きく受けます。強い派遣会社は法改正セミナーへの参加や社内研修の実施が早く、適切に実務へ落とし込めているため、トラブルが少ない傾向があります。

 

4.日本全国での人材不足時代に強い派遣会社の労務管理の注意点

労務管理のレベルを高めるためには、重要ポイントだけでなく「注意すべき点」も押さえる必要があります。

 

5.社会保険労務士によるよくある質問と対策

ここでは、日常的に寄せられる質問とその解決策を紹介します。

 

Q1. 派遣社員の社会保険加入基準はどうすべき?

 強い派遣会社は、法定基準よりも早い段階で加入を案内し、安心して働ける環境づくりを優先しています。

 

Q2. 有給休暇の管理が煩雑

 有給休暇は派遣社員の満足度に直結するため、システム化が不可欠です。紙ベースに依存している会社ほど、ミスやクレームが増えやすい特徴があります。

 

Q3. メンタル不調者の対応は?

 人材不足時代は業務負担が増えやすく、メンタルケアは必須です。定期フォロー・産業医面談の導入が効果的で、離職予防にもつながります。

 

6.日本全国全域での人材不足時代に強い派遣会社の労務管理のメリット

 労務管理を強化することは、派遣会社にとって多くのメリットがあります。

 

<日本全国周辺にも当てはまるポイント>

 1)離職率が低下し、安定稼働が可能

 2)法令違反のリスクが減り、行政指導の対象外となりやすい

 3)顧客企業からの信頼が高まり、契約継続率が上昇

 4)派遣社員からの紹介応募が増加

など、どの地域でも共通する強みが得られます。

 

7.まとめと結論

 人材不足の時代には、とにかく「人が辞めない仕組み」が企業の成長に直結します。その中でも、派遣会社は独自の労務管理が求められ、労務管理の質によって企業の価値が大きく変わります。

 

1)日本全国で成果を上げている派遣会社の共通点は、

2)適切な労働時間管理

3)定期的なコミュニケーション

4)法改正への迅速対応

5)システムの活用による効率化

といった点を丁寧に実践していることです。

 

8.社会保険労務士に相談する理由とお問い合わせ情報

 

人材不足時代に強い組織づくりには、労務管理のプロである社会保険労務士のサポートが大きな効果を発揮します。派遣法・労働基準法・社会保険制度など複雑な法制度を正しく理解し、自社に合った運用へカスタマイズすることで、トラブルを防ぎながら離職率の低減を実現できます。

 

日本全国対応の社会保険労務士であれば、地域差や業種ごとの悩みに応じた支援も可能です。労務管理の改善、派遣会社の運営体制強化、働き方改革対応などでお悩みの際は、ぜひ専門家へ相談してください。

 

【参考リンク】

厚生労働省「適切な労務管理のポイント」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/kanri-point/index.html

派遣元管理台帳の書き方ガイド|記載項目・保存期間・監査リスクとは   2025.12.05

派遣事業を運営していると、「派遣元管理台帳はどこまで書けばいいのか?」「記載項目が多すぎて混乱する」「監査で指摘されやすいポイントが知りたい」──そんな声を多く耳にします。 

派遣元管理台帳は労働者派遣法で必須とされている重要な帳簿ですが、実務レベルでは“形だけ整えている”“項目の意味を十分理解しないまま記載している”といったケースが目立ちます。

 

しかし、台帳は単なる記録のための書類ではありません。 

派遣社員の就業実態を正しく把握し、トラブルを未然に防ぐ「情報の土台」。 

そして行政監査で必ずチェックされる“最重要書”でもあります。

 

この記事では、社労士として派遣会社を多数サポートしてきた視点から、派遣元管理台帳の書き方、記載項目の意味、保存期間、監査で見られるポイントなどを、実務担当者にも分かりやすく解説します。

 

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●1. 派遣元管理台帳とは?目的と役割をわかりやすく整理

 

派遣元管理台帳は、派遣元事業主が「派遣労働者ごと」に作成する帳簿で、 

派遣スタッフが“どこで・どのような条件で・どれくらい働いたか”を管理するために使われます。

 

台帳の主な目的は以下の3つです。

 

1. **派遣労働者の就労実態を明確化する** 

2. **法令違反や条件不整合を防ぐための内部チェック資料とする** 

3. **行政監査における確認資料とする**

 

特に3つ目が非常に重要で、台帳に不備があると行政指導や改善命令の対象となりやすくなります。

 

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●2. 法的根拠:労働者派遣法第23条が義務化

 

派遣元管理台帳は、労働者派遣法第23条によって作成が義務づけられています。 

ここで押さえておきたいのは「短期派遣だから」「人数が少ないから」という免除は一切無い点です。

 

すべての派遣労働者について、個別に作成しなければなりません。

 

また、記載内容には細かいルールがあり、項目を省略することはできません。 

行政監査が入った際も、まず最初にチェックされるのがこの台帳で、「記載漏れ」「更新漏れ」などが特に問題視されやすいポイントです。

 

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●3. 派遣元管理台帳に必要な記載項目(実務者向けに解説)

 

台帳には以下のような項目を必ず記載します。

 

### ▷基本的な記載項目

- 派遣労働者の氏名 

- 派遣先の名称・所在地 

- 派遣期間 

- 派遣契約に基づく業務内容 

- 派遣料金・賃金に関する情報 

- 就業条件(勤務時間、休憩、休日など) 

- 派遣先で受けた指揮命令の内容 

- 教育訓練の実施状況 

- 苦情処理に関する内容

 

実務では「とりあえず記入しておけばOK」と思われがちですが、実は1つひとつに意味があります。

 

 【例】派遣期間の記載が曖昧だとどうなる?

監査では契約書・就業条件明示書・勤怠実績と照らし合わせてチェックされます。 

たとえば、台帳は「8月1日~8月31日」なのに、実際の契約は9月末まで延長されている場合、 

「更新漏れ」と判断され、改善指導に直結します。

 

 【例】苦情処理の項目が空欄だと?

「苦情がなかったから」と空欄にしてしまう会社が多いのですが、正しくは 

“苦情がなかったことを記録する”必要があります。

 

このように、項目ごとの意味を理解していないと監査時に指摘されやすくなるのです。

 

---

 

●4. 台帳の保存期間は原則3年|電子化の注意点

 

派遣元管理台帳の保存期間は「作成日から3年間」です。 

紙での保存はもちろん、電子データ管理も認められています。

 

しかし、電子化には注意点があります。

 

 ▷電子管理でよくあるNG例

1. **フォーマットが法令の必須項目を満たしていない** 

2. **更新履歴が残らない仕組みになっている** 

3. **担当者ごとに管理方法が異なり、統一できていない**

 

電子化は便利ですが、法令に合っていなければ逆にリスクが高まります。 

社労士として支援していると、エクセルやクラウドで作られた台帳が項目不足で、後から修正に追われる企業がとても多いです。

 

---

 

●5. 派遣会社がよく抱く誤解と実務リスク

 

以下のような誤解は特に多く、行政監査で指摘される原因になります。

 

 ❌誤解①:短期間の派遣なら台帳はいらない 

→ 正しくは「期間の長さは関係なく必須」

 

 ❌誤解②:同じ派遣先なら複数人をまとめて1枚でOK 

→ 人数に関係なく、**1人につき1枚**がルール

 

 ❌誤解③:契約書があるから台帳はいらない 

→ 契約書は「派遣元↔派遣先の契約」、台帳は「派遣労働者の働いた記録」 

目的がまったく異なるため、両方とも必要です。

 

これらの誤解が原因で「そもそも作っていない」「途中から作った」などになってしまうと、指導対象になりやすくなります。

 

---

 

●6. 行政監査で特に見られるポイントとは?

 

行政監査で多くの派遣会社が指摘されるのは次の点です。

 

- 記載項目の不足 

- 更新日がずれている(更新漏れ) 

- 派遣先変更時に台帳を新しくしていない 

- 契約書や勤務実績と内容が一致していない 

- 苦情処理欄が空欄 

 

監査官は「台帳が実態と一致しているか」を最も重視します。 

社労士として現場をサポートするときも、台帳だけでなく、契約書・就業条件明示書・勤怠データの“三点セット”が一致しているか徹底して確認します。

 

---

 

●7. 実務担当者が押さえるべき台帳運用のコツ

 

派遣元管理台帳は、作るだけでなく「運用すること」が大切です。 

以下のようなフローを整えると、一気に管理が楽になります。

 

 ▷台帳運用が安定する仕組みの例

- 派遣先変更・条件変更時に更新する“明確な社内ルール”を作る 

- 契約更新のたびに台帳を必ず見直す習慣をつける 

- 契約書・就業条件明示書との整合性チェックを仕組み化 

- 苦情処理や教育訓練の記録を“後回しにしない” 

 

実務で最も多いミスは「記録の後回し」です。 

台帳は“都度更新”が基本。後でまとめて…は絶対にNGです。

 

---

 

●8. 社労士が見てきた「台帳運用がうまい会社」の特徴

 

支援の中で、台帳運用が上手な会社には共通点があります。

 

1. **記録・更新の担当者が明確に決まっている** 

2. **契約変更があれば即座に台帳を更新している** 

3. **電子フォーマットが統一されている** 

4. **法令変更をキャッチアップできる仕組みがある** 

5. **管理ルールが“担当者の感覚任せ”になっていない**

 

逆に、トラブルが多い会社は「誰が管理しているのかわからない」「担当変更で引き継ぎが途絶える」という状態がよくあります。

 

---

 

●9. きちんと台帳を整えることが“会社の信頼”をつくる

 

派遣元管理台帳は義務書類ではありますが、実は“派遣会社の質”を映し出す鏡でもあります。

 

・台帳が整っている会社は、派遣先からの信頼が高まりやすい 

・スタッフ対応もスムーズになり、苦情も減る 

・監査対応のストレスが激減する 

 

台帳は会社の評判を左右する重要な実務ツールなのです。

 

社労士として多くの現場を見てきましたが、 

台帳管理が整っていない会社ほど、派遣先トラブル・労働条件不整合・監査指導が多く起こります。

 

逆に台帳管理がきちんとしている会社は、派遣先・スタッフともに安心感があり、結果として事業の安定度が高い傾向があります。

 

---

 

●10. まとめ:台帳の書き方を理解し、運用力を高めれば監査にも強くなる

 

派遣元管理台帳の作成は派遣会社にとって絶対に避けて通れない業務。 

しかし、正しく理解し、仕組みとして運用してしまえば、決して難しいものではありません。

 

**台帳のポイントまとめ**

- 派遣労働者ごとに必ず作成 

- 記載項目は省略不可 

- 保存期間は3年 

- 電子化は可能だが法令に合ったフォーマットが必要 

- 行政監査では必ずチェックされる 

- 実態と一致していないと指導の対象に

 

台帳は「作れば終わりの書類」ではなく、 

派遣会社の信頼と安定を支える“土台”です。

 

派遣事業の質を高めたい企業は、ぜひ一度、自社の台帳管理を見直してみてください。 

必要に応じて専門家にチェックしてもらうことで、法令遵守の不安を大きく軽減することもできます。

 

この記事が、派遣元管理台帳を正しく理解し、より実務的に活用するための参考になれば幸いです。

 

ご相談の際は、当ホームページのお問合せ・相談フォームから、お気軽にお声がけください。

初回のご相談は無料です。

名ばかり派遣先責任者が招くトラブルとは?派遣会社が知るべき最新実務ポイント   2025.12.04

派遣業界では、人手不足や業務の繁忙化に伴い、現場が一時的に混乱することは珍しくありません。 

そのなかでもここ数年、全国の派遣現場で特に増えているのが「派遣先責任者が名義だけで、実務を担えていない」という深刻な問題です。

 

私は日頃、全国の派遣会社や派遣先企業から相談を受ける社会保険労務士として、実際の現場で起きているトラブルに触れる機会が非常に多くあります。 

そこで強く感じるのは、「名ばかり派遣先責任者」がトラブルの温床になっているケースが年々増えているということです。

 

本記事では、派遣会社の立場で押さえておくべき実務ポイントを、派遣法の基準と全国の現場事例を踏まえて徹底解説します。

 

---

 

■1.「名ばかり派遣先責任者」がなぜ問題なのか?

 

派遣先責任者は、派遣先企業が必ず選任しなければならない役割で、 

派遣労働者を安全に受け入れ、労働トラブルを未然に防ぐための中心的な存在です。

 

しかし実際の現場では、

 

- 登録はされているが現場にほとんど来ない 

- 派遣スタッフを指導するのが誰か曖昧 

- 派遣法のルールを理解していない 

- 派遣元との連携がほぼない 

 

といったケースが少なくありません。

 

このような状態のまま稼働が続くと、派遣法違反につながる可能性があり、労働局からの指導や改善命令の対象になり得ます。

 

特に労働局は、派遣先責任者の選任状況や運用状況について非常に厳しくチェックします。 

「名前だけ載っている」「形式的に登録しているだけ」という状態は一発で指摘される項目です。

 

---

 

■2. 実際の現場で起きている典型的なトラブル事例

 

ここからは、全国の派遣会社から寄せられる“よくある失敗パターン”を紹介します。

 

 ●事例①:責任者が忙しすぎて現場に立てない

製造業の現場では、管理者1名が複数部署を掛け持ちしており、派遣スタッフの様子を把握できないことがあります。 

結果として、派遣スタッフからの相談が放置され、派遣元との連携も不十分に。

 

この場合、労働局からは「実態として責任者機能を果たしていない」と判断されます。

 

---

 

 ●事例②:夜勤帯だけ完全に責任者不在

24時間稼働の物流センターで特に多いケースです。 

日中の責任者が夜勤帯に名前だけ残している状態ですが、連絡も取れず、緊急時対応ができません。

 

法的には「代行体制が整備されていない」として指導されるリスクがあります。

 

---

 

 ●事例③:現場リーダーが独断で派遣スタッフへ指示

派遣先責任者が機能していないと、現場リーダーや一般社員が派遣スタッフに直接業務指示を出してしまうことがあります。

 

すると、

 

- 契約外業務の強制 

- 重大事故につながる不適切指示 

- ハラスメント 

- 長時間労働の温床 

 

といった問題が発生し、派遣元からも苦情が入りやすくなります。

 

---

 

 ●事例④:新人教育が場当たりで統一されていない

「今日からこの人に教えて」と場当たり的に担当を決めてしまうケースもよくあります。 

すると、スタッフによって教育内容が異なり、作業ミスや離職につながります。

 

派遣先責任者が教育体制を整えられていない典型例です。

 

---

 

■3. 派遣法が求める「派遣先責任者の本来の役割」

 

派遣先責任者は、単に名簿に名前を載せておけば良いわけではありません。 

派遣法上、以下の役割を現実に果たす必要があります。

 

- 派遣スタッフへの業務指示ルートの管理 

- 安全衛生の確保 

- 契約外業務が行われないよう監督 

- 派遣元との連携調整 

- 労務トラブル発生時の対応 

- 労働時間の適正管理 

- 教育・指導体制の整備 

 

特に「指揮命令者としての業務を実際に行うこと」が重要です。

 

形式的な登録のまま実務を担当していない場合は、 

**“派遣法の遵守体制なし”と判断されても仕方ありません。**

 

---

 

■4. 派遣先責任者が不在だと起きる“3つの重大リスク”

 

 ◆リスク1:労働局の行政指導・改善命令 

責任者不在は派遣法上の重大な違反要素です。 

労働局の調査で指摘が入ると、改善命令や再調査の対象になります。

 

特に以下の点は非常に指摘されやすい項目です。

 

- 名義だけの選任 

- 責任者業務が未実施 

- 指揮命令ルートが不明確 

- 夜勤帯・早朝帯の代行体制不足 

 

---

 

 ◆リスク2:派遣契約の停止や取引の縮小 

派遣元が現場を見た際に責任者不在が発覚すると、 

「安全に働けない職場」と判断され、派遣契約の縮小や解除につながることもあります。

 

特に派遣元からは、 

「労務管理の不備は最も避けたいリスク」 

として非常に慎重に見られます。

 

---

 

 ◆リスク3:トラブルや事故の増加 

責任者不在は、現場のトラブルをほぼ確実に増やします。

 

- ミスの多発 

- 安全管理の不備 

- 連絡体制の乱れ 

- ハラスメント 

- スタッフの早期離職 

 

といった問題が起きやすく、最終的には企業の信用にも影響します。

 

---

 

■5. 派遣会社が押さえておくべき実務的な予防策

 

派遣会社としては、派遣先の体制が適切かどうかを一定程度確認し、必要に応じて改善提案することが求められます。 

以下は、実際に効果の高かった改善策です。

 

---

 

 ●改善策①:責任者の“実態確認”を行う

- 責任者が現場にいる時間帯は? 

- 夜勤・早朝の代行者は? 

- 緊急連絡先は機能している? 

- スタッフへの指示ルートは明確? 

 

これらを確認しておくことで、トラブルを未然に防げます。

 

---

 

 ●改善策②:代行体制の整備を提案

責任者が常に現場にいる必要はありませんが、 

**「責任者 → 代理 → 深夜責任者」のような代行階層**が必要です。

 

---

 

 ●改善策③:派遣元・派遣先間のコミュニケーションを定例化

月1回のミーティングや連絡ノートなど、 

「誰が・何を・どのタイミングで共有するか」を明確にすることがポイントです。

 

---

 

 ●改善策④:責任者研修の実施を促す

派遣法は毎年のように改正があります。

 

最低でも年1回は研修を実施し、 

「指揮命令の範囲」「契約外業務」「安全衛生」 

などのルールを確認しておくことで、現場の混乱を防ぎます。

 

---

 

■6. 責任者体制を強化すると得られる“3つの大きなメリット”

 

 ●メリット1:派遣スタッフのミス・事故が減少 

教育が安定し、作業品質が均一になります。

 

 ●メリット2:労働トラブルが激減 

指揮命令ルートが明確になることで、 

ハラスメントや不適切指示が減少します。

 

 ●メリット3:派遣元との信頼関係が強化 

「安心して派遣できる職場」 

として認識され、優秀なスタッフが集まりやすくなります。

 

---

 

■7. 最後に:派遣先責任者の体制整備は“派遣会社にとっても重要”

 

派遣先責任者の質は、派遣スタッフの働きやすさと定着率に直結します。

 

そして、労働局の調査において 

「責任者体制は最も重要な確認項目の1つ」です。

 

もし現場で少しでも不安があれば、早めに見直すことが重要です。

 

社会保険労務士として、私はこれまで全国の派遣現場の改善に関わってきました。 

派遣会社の立場では気付きづらい点も、専門家の視点で整理することでスムーズに改善できます。

 

「うちは大丈夫かな?」 

「責任者の体制を見直したい」 

 

そんな場合は、気軽にご相談ください。 

派遣現場を安定させるための最適な方法をご提案します。

 

---

 

以上、名ばかり派遣先責任者の問題についての解説でした。 

派遣会社の皆さまの現場改善に、少しでもお役に立てれば幸いです。

セミナー動画アップしました   2025.12.03

賃金、派遣料金値上げ待ったなし!

動画は下記よりご視聴ください。

https://www.youtube.com/@mmjinji4864

 

当事務所代表は下記、

人材ビジネスナビでコラムを執筆しておりますが、

その主催会社である、ユニテックシステム株式会社様が

運営するオンラインセミナーに講師として登壇しました。

https://jinzai-biz.com/

 

運営会社様の了承を経て、

当事務所ユーチューブチャンネルで、

セミナーをまるっと動画公開します!

2026年度の派遣の労使協定作成にぜひお役立てください。

 

当代表は今後とも派遣の労使協定を連続テーマに

セミナーに登壇する予定です。

ユニテックシステム株式会社様のシステム利用者様も、

そうでない方も無料で受講できます!

https://www.uts-navi.com/seminar/

 

またこのHPでも告知しますので、

お申込みの際はぜひ、当事務所お問い合わせフォームから

ご連絡ください。

派遣に関するコラム記事掲載について(2025年12月人材ビジネスナビ)   2025.12.03

https://jinzai-biz.com/employment_labor/10854/

ユニテックシステム株式会社様の運営する「人材ビジネスナビ」において、

当代表が執筆した2025年12月分のコラムが掲載されましたので、ご報告いたします。

テーマ)労働局に提出する「関係派遣先割合報告書」を作成

上記よりご覧いただけますと幸いです。

これからも派遣事業にかかわる方へ、有益な情報を毎月発信してまいりますので、

このHPのコラムとともに、ぜひご活用ください。

 

このHPのコラムは派遣に関する時事ニュース、

人材ビジネスナビは報告書等、派遣に関する実務解説、

とテーマが違いますので、重複はありません。

どちらもお役立ち情報満載です!

派遣会社が知っておくべき「マージン率等情報公開制度」を完全解説|失敗しない情報公開のポイント   2025.12.03

派遣事業を取り巻く環境は年々変化し、特に「透明性」への要求は以前よりも格段に高まっています。 

その中心にある制度のひとつが、今回取り上げる **「マージン率等の情報公開制度」** です。

 

マージン率という言葉は耳にしたことがあっても、 

「具体的にどう計算するのか?」 

「どこまで公開しないといけないのか?」 

「更新漏れは行政指導の対象になるって本当?」 

 

このような疑問や不安を抱えている派遣会社のご担当者は多くいます。

 

本記事では、社会保険労務士の専門的な視点から、 

**制度の目的・計算方法・公開項目・実務上の注意点・リスク対策** を 

5,000文字で徹底的に解説していきます。

 

制度を「義務」ではなく「強み」に変えていくためのヒントもお伝えします。

 

---

 

1. マージン率等の情報公開制度とは|派遣会社が求められる透明性

 

マージン率等の情報公開制度は、派遣労働者が自身の待遇を理解しやすくするため、 

「派遣料金」と「派遣労働者の賃金」の関係を明確にすることを目的に設けられた制度です。

 

以前は、派遣料金の何割が賃金で、何割が派遣会社の取り分なのかが曖昧で、 

「派遣会社は搾取しているのでは?」といった誤解を招くことも多くありました。

 

こうした不透明さを解消し、 

・派遣労働者が自分の待遇を正しく理解できる 

・派遣先企業が適正な取引を判断できる 

・派遣会社が健全な事業運営を示せる 

 

これらを実現するための仕組みが、マージン率等の情報公開制度です。

 

社会保険労務士としても、許可更新や労務監査の際に非常に重要な確認項目になります。

 

---

 

2. マージン率の正しい定義|利益率との違いを理解する

 

まず押さえておくべきなのは、 

**「マージン率=派遣会社の利益率ではない」** という点です。

 

マージン率の計算式は以下の通りです:

 

**(派遣料金 − 派遣労働者の賃金) ÷ 派遣料金 × 100**

 

しかし、この「差額」の中には多くの費用が含まれています。

 

- 社会保険料の事業主負担 

- 交通費相当額 

- 教育訓練費 

- 営業・管理部門人件費 

- オフィス賃料・システム費 

- その他の間接費 

 

このため、マージン率が高いからといって「利益が大きい」というわけではありません。

 

むしろ教育訓練が充実していたり、社会保険料適正加入にしっかり対応していたりする会社は、 

自然とマージン率が高めになる傾向があります。

 

派遣労働者にも派遣先にも、この「誤解を解くための透明性」が求められているのです。

 

---

 

3. マージン率の計算における実務のポイント

 

実際に計算をする際、意外と間違えやすいポイントがあります。

 

 ● 派遣料金の算出方法 

派遣料金は、契約書や請求書ベースで正確に把握します。 

月額で計算する場合、稼働時間の確認がずれると誤差が生まれます。

 

 ● 賃金の算出 

賃金には基本給、残業代、交通費を含むかなど、各社で取り扱いが異なるケースがあります。 

労働者に説明する際は特に、計算根拠を統一しておくことが重要です。

 

 ● 対象期間の統一 

年度ごとの数字で公開するため、「集計期間」がバラつくと不整合が発生します。

 

社会保険労務士としては、給与計算・社会保険加入状況・台帳内容と突合させ、 

整合性に問題がないかを確認する作業が必須だと感じています。

 

---

 

4. 公開義務のある情報一覧|マージン率以外の重要項目

 

公開が必要なのはマージン率だけではありません。

 

**(法令で公開が義務付けられる項目)** 

・派遣労働者数 

・派遣先数 

・派遣料金の平均額(職種ごと) 

・派遣労働者の賃金の平均額(職種ごと) 

・マージン率 

・教育訓練費の内容・実績 

・福利厚生の内容 

 

特に重要なのは、**教育訓練の内容と実績** です。

 

派遣元には「段階的かつ体系的な教育訓練」が法的に義務付けられています。 

これを公開することで、派遣労働者へのキャリア支援を可視化できます。

 

---

 

5. 公開方法|ウェブサイトと事業所掲示

 

公開方法は以下の3つです。

 

1.厚生労働省「人材サービス総合サイト」にて情報公開 ※必須

2.会社ホームページにて情報公開

3.事業所内での掲示・書面での閲覧提供  (社員への周知のため)

 

会社のウェブサイトでの公開が主流になりましたが、 

厚生労働省の運営する人材サービス総合サイトに掲載していない場合、 

行政指導につながりかねないケースも多く見受けられます。

 

---

 

6. 実務で起こりがちな問題|よくある失敗例

 

社労士として実際に多いのは次のような相談です。

 

● 事業報告書の数字と公開内容が一致していない 

許可更新の場面で最も指摘されやすい部分です。

 

● 旧年度データのまま 

年度更新を忘れていたために、行政から改善指導を受けたケースもあります。

 

● 教育訓練の記録不足 

「実施した」と記載しているのに、記録がないため説明できないケースが多い。

 

● 公開ページが見つけづらい 

トップページから2〜3クリックで到達できないと改善対象になりやすい。

 

---

 

7. 情報公開が派遣会社にもたらすメリット

 

義務だから公開する——という考え方では非常にもったいない制度です。

 

情報公開を丁寧に行うことで、 

● 求職者に安心感を与える 

● 派遣先企業からの信頼が高まる 

● 適正運営をPRできる 

● 他社との差別化につながる 

● 採用・営業の成果が変わる 

 

実際、教育訓練の実績をしっかり公開したことで応募数が増えたという事例もあります。

 

---

 

8. 行政指導・許可更新でのチェックポイント

 

許可更新では以下がチェックされます:

 

- 公開情報の整合性 

- 公開項目の漏れ 

- 教育訓練の実施状況 

- 社会保険・雇用保険加入の適正 

- 台帳・報告書の内容 

 

これらはすべてマージン率公開制度とも密接に関係しています。

 

数字の整合性を軽視すると、許可更新で指導される可能性が高くなるため、 

早めにチェック体制を整えておく必要があります。

 

---

 

9. マージン率等の情報公開制度を“強み”に変える方法

 

制度は義務であると同時に、派遣会社のブランディング要素にもなります。

 

● 教育訓練制度を丁寧に可視化する 

キャリア支援への取り組みは、採用力向上に直結します。

 

● 福利厚生の充実度を示す 

「他社と違うポイント」を打ち出す大きな材料に。

 

● マージン率を“低い・高い”で評価されない説明を用意する 

適正運営に必要な経費を丁寧に説明すると誤解を避けられます。

 

---

 

10. まとめ|派遣会社が今すぐ取り組むべき3つのアクション

 

最後に、今日からできる重要アクションを3つに整理します。

 

 ① 公開情報の整合性をチェック 

賃金・台帳・事業報告書の数字が一致しているかを確認。

 

 ② ウェブ公開の導線を見直す 

スマホでの見つけやすさがポイント。

 

 ③ 教育訓練の実施記録を整理 

法定義務のため、証跡管理は必須です。

 

---

 

マージン率等の情報公開制度は、派遣労働者に安心感を与えるだけでなく、 

派遣会社自身の信頼性を高める“重要な経営資源”です。

 

「うちの公開内容、本当に問題ない?」 

「数字の整合性が不安…」 

 

そんな時は、専門家にチェックしてもらうだけでリスクを大きく減らせます。

 

制度を味方につけ、透明性の高い派遣会社として成長していくための参考になれば幸いです。

 

※参照)厚生労働省「人材サービス総合サイト」

https://jinzai.hellowork.mhlw.go.jp/JinzaiWeb/GICB101010.do?action=initDisp&screenId=GICB101010

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当事務所セミナー会場(27Fスカイラウンジ)で、当事務所が独自にテーマを設定し、お申し込み頂いた、複数の会社様にご参加頂くものです。

セミナー開催実績例
  • 介護事業者様向け「改正介護保険法セミナー」
  • 介護事業者様向け「介護労働環境向上奨励金セミナー」 3回
  • 新規採用をお考えの事業者様向け
    「元ハローワーク職員が教える!求人助成金セミナー」
  • 飲食店様向け「元ハローワーク職員が教える!求人助成金セミナー」

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講演実績

日本経営開発協会様 御紹介
市川港開発協議会様 主催 研修

「マイナンバー通知開始!
今知りたいマイナンバー制度の傾向と対策」

【参加者様からのお声】

  • 非常に分かりやすく、90分飽きさせることのない素晴らしいものだった。
  • 非常に役に立ち、興味が持てる内容だった。
  • 普段は講義に集中するのは難儀なのだが、話のスピード、声のトーン、間、どれを取っても感心するばかりだった。
  • マイナンバーが今後いろいろな問題を引き起こす可能性があることがよくわかり、大変勉強になった。早期に確実な運用体制を社内に確立させなければと思った。

一般社団法人 港湾労働安定協会 様 主催
雇用管理者研修「職場のメンタルヘルスに関して(会社を守る職場のメンタルヘルス対策)」

【参加者様からのお声】

  • メンタルヘルス対策は今後も重要になってくると思うので、このような研修会を増やして貰いたい。
  • 社会保険労務士による内容を次回もお願いしたい。
  • メンタルヘルス関係で初めて面白い(役に立つ)情報が聞けたと思います。
  • 大変に良い研修ですので、これからも続けて貰えるとありがたいです。
  • 中間管理職として守るべきというか、部下に対してどのような人事労務管理をすればよいのか、中小企業向けに別途講習会をやってほしいと思った。
  • 株式会社LEC 様 主催
    「介護雇用管理研修」業務委託登録講師
  • 株式会社フィールドプランニング 様 主催
    「派遣元・派遣先・職業紹介責任者講習」業務委託主任講師
  • 神奈川韓国商工会議所様 主催
    経営者セミナー「お役立ち助成金講座
    (雇用の確保と5年ルールへの対応策)」
  • 日本経営開発協会様 御紹介
    株式会社根布工業様 主催
    安全大会「入ってないと、どうなっちゃうの?社会保険のこわ~いお話」
泉文美 講師紹介ページ

講演会の講師紹介・講師派遣なら講演依頼.com

研修について

当事務所代表が、会社様のご依頼に基づき、会社様の具体的な人事労務に関わる内容(個別事案)について、オーダーメイドのプログラムを作成し、社員の皆様に研修するものです。

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  • 就業規則を変更したので、わかりやすい説明会を開いてほしい
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ハッケン!リクナビ派遣に「働き改革!派遣社員が選べるふたつの雇用とは」と題する記事を執筆しました。

「働き方改革!派遣社員が選べるふたつの雇用とは」

「近代中小企業」2月号

「近代中小企業」2月号

「近代中小企業」2月号に記事を執筆しました。

「元ハローワーク職員が教える!ハローワーク求人&助成金活用法」

「SR」 9月号

SR 9月号

ハローワークを始め、社会保険事務所(現:年金事務所)、労働基準監督署でも勤務経験を持ち、「お役所の裏事情に詳しい社労士」として定評のある我がみなとみらい人事コンサルティング代表。

ハローワークでの勤務経験を買われ、日本法令様出版の「SR 9月号」に記事を執筆しました。

(第27号 2012年8月6日発売)

元職員が指南する!ハローワークの効果的な利用の仕方

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