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名ばかり派遣先責任者が招くトラブルとは?派遣会社が知るべき最新実務ポイント   2025.12.04

派遣業界では、人手不足や業務の繁忙化に伴い、現場が一時的に混乱することは珍しくありません。 

そのなかでもここ数年、全国の派遣現場で特に増えているのが「派遣先責任者が名義だけで、実務を担えていない」という深刻な問題です。

 

私は日頃、全国の派遣会社や派遣先企業から相談を受ける社会保険労務士として、実際の現場で起きているトラブルに触れる機会が非常に多くあります。 

そこで強く感じるのは、「名ばかり派遣先責任者」がトラブルの温床になっているケースが年々増えているということです。

 

本記事では、派遣会社の立場で押さえておくべき実務ポイントを、派遣法の基準と全国の現場事例を踏まえて徹底解説します。

 

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■1.「名ばかり派遣先責任者」がなぜ問題なのか?

 

派遣先責任者は、派遣先企業が必ず選任しなければならない役割で、 

派遣労働者を安全に受け入れ、労働トラブルを未然に防ぐための中心的な存在です。

 

しかし実際の現場では、

 

- 登録はされているが現場にほとんど来ない 

- 派遣スタッフを指導するのが誰か曖昧 

- 派遣法のルールを理解していない 

- 派遣元との連携がほぼない 

 

といったケースが少なくありません。

 

このような状態のまま稼働が続くと、派遣法違反につながる可能性があり、労働局からの指導や改善命令の対象になり得ます。

 

特に労働局は、派遣先責任者の選任状況や運用状況について非常に厳しくチェックします。 

「名前だけ載っている」「形式的に登録しているだけ」という状態は一発で指摘される項目です。

 

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■2. 実際の現場で起きている典型的なトラブル事例

 

ここからは、全国の派遣会社から寄せられる“よくある失敗パターン”を紹介します。

 

 ●事例①:責任者が忙しすぎて現場に立てない

製造業の現場では、管理者1名が複数部署を掛け持ちしており、派遣スタッフの様子を把握できないことがあります。 

結果として、派遣スタッフからの相談が放置され、派遣元との連携も不十分に。

 

この場合、労働局からは「実態として責任者機能を果たしていない」と判断されます。

 

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 ●事例②:夜勤帯だけ完全に責任者不在

24時間稼働の物流センターで特に多いケースです。 

日中の責任者が夜勤帯に名前だけ残している状態ですが、連絡も取れず、緊急時対応ができません。

 

法的には「代行体制が整備されていない」として指導されるリスクがあります。

 

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 ●事例③:現場リーダーが独断で派遣スタッフへ指示

派遣先責任者が機能していないと、現場リーダーや一般社員が派遣スタッフに直接業務指示を出してしまうことがあります。

 

すると、

 

- 契約外業務の強制 

- 重大事故につながる不適切指示 

- ハラスメント 

- 長時間労働の温床 

 

といった問題が発生し、派遣元からも苦情が入りやすくなります。

 

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 ●事例④:新人教育が場当たりで統一されていない

「今日からこの人に教えて」と場当たり的に担当を決めてしまうケースもよくあります。 

すると、スタッフによって教育内容が異なり、作業ミスや離職につながります。

 

派遣先責任者が教育体制を整えられていない典型例です。

 

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■3. 派遣法が求める「派遣先責任者の本来の役割」

 

派遣先責任者は、単に名簿に名前を載せておけば良いわけではありません。 

派遣法上、以下の役割を現実に果たす必要があります。

 

- 派遣スタッフへの業務指示ルートの管理 

- 安全衛生の確保 

- 契約外業務が行われないよう監督 

- 派遣元との連携調整 

- 労務トラブル発生時の対応 

- 労働時間の適正管理 

- 教育・指導体制の整備 

 

特に「指揮命令者としての業務を実際に行うこと」が重要です。

 

形式的な登録のまま実務を担当していない場合は、 

**“派遣法の遵守体制なし”と判断されても仕方ありません。**

 

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■4. 派遣先責任者が不在だと起きる“3つの重大リスク”

 

 ◆リスク1:労働局の行政指導・改善命令 

責任者不在は派遣法上の重大な違反要素です。 

労働局の調査で指摘が入ると、改善命令や再調査の対象になります。

 

特に以下の点は非常に指摘されやすい項目です。

 

- 名義だけの選任 

- 責任者業務が未実施 

- 指揮命令ルートが不明確 

- 夜勤帯・早朝帯の代行体制不足 

 

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 ◆リスク2:派遣契約の停止や取引の縮小 

派遣元が現場を見た際に責任者不在が発覚すると、 

「安全に働けない職場」と判断され、派遣契約の縮小や解除につながることもあります。

 

特に派遣元からは、 

「労務管理の不備は最も避けたいリスク」 

として非常に慎重に見られます。

 

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 ◆リスク3:トラブルや事故の増加 

責任者不在は、現場のトラブルをほぼ確実に増やします。

 

- ミスの多発 

- 安全管理の不備 

- 連絡体制の乱れ 

- ハラスメント 

- スタッフの早期離職 

 

といった問題が起きやすく、最終的には企業の信用にも影響します。

 

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■5. 派遣会社が押さえておくべき実務的な予防策

 

派遣会社としては、派遣先の体制が適切かどうかを一定程度確認し、必要に応じて改善提案することが求められます。 

以下は、実際に効果の高かった改善策です。

 

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 ●改善策①:責任者の“実態確認”を行う

- 責任者が現場にいる時間帯は? 

- 夜勤・早朝の代行者は? 

- 緊急連絡先は機能している? 

- スタッフへの指示ルートは明確? 

 

これらを確認しておくことで、トラブルを未然に防げます。

 

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 ●改善策②:代行体制の整備を提案

責任者が常に現場にいる必要はありませんが、 

**「責任者 → 代理 → 深夜責任者」のような代行階層**が必要です。

 

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 ●改善策③:派遣元・派遣先間のコミュニケーションを定例化

月1回のミーティングや連絡ノートなど、 

「誰が・何を・どのタイミングで共有するか」を明確にすることがポイントです。

 

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 ●改善策④:責任者研修の実施を促す

派遣法は毎年のように改正があります。

 

最低でも年1回は研修を実施し、 

「指揮命令の範囲」「契約外業務」「安全衛生」 

などのルールを確認しておくことで、現場の混乱を防ぎます。

 

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■6. 責任者体制を強化すると得られる“3つの大きなメリット”

 

 ●メリット1:派遣スタッフのミス・事故が減少 

教育が安定し、作業品質が均一になります。

 

 ●メリット2:労働トラブルが激減 

指揮命令ルートが明確になることで、 

ハラスメントや不適切指示が減少します。

 

 ●メリット3:派遣元との信頼関係が強化 

「安心して派遣できる職場」 

として認識され、優秀なスタッフが集まりやすくなります。

 

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■7. 最後に:派遣先責任者の体制整備は“派遣会社にとっても重要”

 

派遣先責任者の質は、派遣スタッフの働きやすさと定着率に直結します。

 

そして、労働局の調査において 

「責任者体制は最も重要な確認項目の1つ」です。

 

もし現場で少しでも不安があれば、早めに見直すことが重要です。

 

社会保険労務士として、私はこれまで全国の派遣現場の改善に関わってきました。 

派遣会社の立場では気付きづらい点も、専門家の視点で整理することでスムーズに改善できます。

 

「うちは大丈夫かな?」 

「責任者の体制を見直したい」 

 

そんな場合は、気軽にご相談ください。 

派遣現場を安定させるための最適な方法をご提案します。

 

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以上、名ばかり派遣先責任者の問題についての解説でした。 

派遣会社の皆さまの現場改善に、少しでもお役に立てれば幸いです。

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 などなど、多くのお客様に喜ばれております。

セミナーについて

当事務所セミナー会場(27Fスカイラウンジ)で、当事務所が独自にテーマを設定し、お申し込み頂いた、複数の会社様にご参加頂くものです。

セミナー開催実績例
  • 介護事業者様向け「改正介護保険法セミナー」
  • 介護事業者様向け「介護労働環境向上奨励金セミナー」 3回
  • 新規採用をお考えの事業者様向け
    「元ハローワーク職員が教える!求人助成金セミナー」
  • 飲食店様向け「元ハローワーク職員が教える!求人助成金セミナー」

講演について

当事務所代表が会社様や、ご同業者の集まりに訪問し、ご依頼されたテーマ(一般的な課題)について原稿を作成し、講演するものです。

講演実績

日本経営開発協会様 御紹介
市川港開発協議会様 主催 研修

「マイナンバー通知開始!
今知りたいマイナンバー制度の傾向と対策」

【参加者様からのお声】

  • 非常に分かりやすく、90分飽きさせることのない素晴らしいものだった。
  • 非常に役に立ち、興味が持てる内容だった。
  • 普段は講義に集中するのは難儀なのだが、話のスピード、声のトーン、間、どれを取っても感心するばかりだった。
  • マイナンバーが今後いろいろな問題を引き起こす可能性があることがよくわかり、大変勉強になった。早期に確実な運用体制を社内に確立させなければと思った。

一般社団法人 港湾労働安定協会 様 主催
雇用管理者研修「職場のメンタルヘルスに関して(会社を守る職場のメンタルヘルス対策)」

【参加者様からのお声】

  • メンタルヘルス対策は今後も重要になってくると思うので、このような研修会を増やして貰いたい。
  • 社会保険労務士による内容を次回もお願いしたい。
  • メンタルヘルス関係で初めて面白い(役に立つ)情報が聞けたと思います。
  • 大変に良い研修ですので、これからも続けて貰えるとありがたいです。
  • 中間管理職として守るべきというか、部下に対してどのような人事労務管理をすればよいのか、中小企業向けに別途講習会をやってほしいと思った。
  • 株式会社LEC 様 主催
    「介護雇用管理研修」業務委託登録講師
  • 株式会社フィールドプランニング 様 主催
    「派遣元・派遣先・職業紹介責任者講習」業務委託主任講師
  • 神奈川韓国商工会議所様 主催
    経営者セミナー「お役立ち助成金講座
    (雇用の確保と5年ルールへの対応策)」
  • 日本経営開発協会様 御紹介
    株式会社根布工業様 主催
    安全大会「入ってないと、どうなっちゃうの?社会保険のこわ~いお話」
泉文美 講師紹介ページ

講演会の講師紹介・講師派遣なら講演依頼.com

研修について

当事務所代表が、会社様のご依頼に基づき、会社様の具体的な人事労務に関わる内容(個別事案)について、オーダーメイドのプログラムを作成し、社員の皆様に研修するものです。

研修のご依頼例

  • 就業規則を変更したので、わかりやすい説明会を開いてほしい
  • 給与規定を見直したので、従業員に説明をしてほしい
  • 従業員向けの、接客マナー、敬語などのレッスン会をしてほしい

執筆のご依頼

雑誌・メルマガ、HPコラムなど、ご希望に沿ったテーマで記事を執筆いたします。

掲載履歴

HP記事執筆

ハッケン!リクナビ派遣に「働き改革!派遣社員が選べるふたつの雇用とは」と題する記事を執筆しました。

「働き方改革!派遣社員が選べるふたつの雇用とは」

「近代中小企業」2月号

「近代中小企業」2月号

「近代中小企業」2月号に記事を執筆しました。

「元ハローワーク職員が教える!ハローワーク求人&助成金活用法」

「SR」 9月号

SR 9月号

ハローワークを始め、社会保険事務所(現:年金事務所)、労働基準監督署でも勤務経験を持ち、「お役所の裏事情に詳しい社労士」として定評のある我がみなとみらい人事コンサルティング代表。

ハローワークでの勤務経験を買われ、日本法令様出版の「SR 9月号」に記事を執筆しました。

(第27号 2012年8月6日発売)

元職員が指南する!ハローワークの効果的な利用の仕方

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